ニホンラ
イチョウ
(
Lagopus mutus japonicus)の若鳥(133日齢)と成鳥(865日齢)に,ナラの葉ミールを20%含むナラ飼料,グラスミールを20%含むグラス飼料あるいは両者を等量,合わせて20%含むナラ+グラス飼料を10日あるいは11日間給与しこれらの飼料の利用性について検討した。
1. 若鳥,成鳥込みの体重はどの実験飼料の給与によっても,有意に変化しなかった。実験に用いたラ
イチョウ
の体重は,全実験終了時に9.5-22.0gの増加が認められた。
2. 成鳥の実験飼料摂取量は,すべての飼料区で前報なみの16-23g/日/500g体重であったが,若鳥は約31g/日/500g体重で,これはラ
イチョウ
の年齢によって飼料摂取量が影響される可能性を示している。
3. 乾物消化率は,飼料間に,また成鳥と若鳥の間で差はなく,60-61%で前報の64-65%より若干低かった。
4. 粗繊維消化率は,前報の約半分の21-28%で,ナラ+グラス飼料が最も低く,またこの飼料でのみ成鳥が若鳥より低い傾向が認められた。
5. 窒素蓄積率は,ナラ,ナラ+グラス,グラス飼料で,若鳥がそれぞれ21,20及び33%で成鳥がそれぞれ15,15,26%と若鳥が成鳥より高く,グラス飼料が他区より高い傾向があった。また本実験でえられた値はいずれも前報のそれより低かった。
6. 粗脂肪利用率は,72-86%,可溶無窒素物利用率は78-83%といずれも前報なみに高い値が得られた。
7. 維持代謝エネルギー要求量は,若鳥が490-500kJ/日/500g体重,成鳥が340kJ/日/500g体重で,成鳥の値はすでに我々が報告した結果とほぼ一致していた。代謝エネルギー値は,前報同様すべて12-13kJ/gDMであった。
以上の結果から,ナラ飼料,ナラ+グラス飼料とも実用的に十分使うことのできる飼料であることが再確認され,またニホンラ
イチョウ
の飼料摂取量や体重維持のための代謝エネルギー要求量は年齢によって影響されることが示唆された。
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