腹部超音波検診で発見された肝癌201例を対象として, 症例・対照研究による危険因子の分析を行った結果, 肝疾患の家族歴, 肝疾患の既往歴, 輸血歴, また肝機能ではGOT, ChE, GPT, ZTTが重要と思われた。しかし, 肝障害の根本的な原因は肝炎ウイルス感染 (特にC型肝炎ウイルス) であり, 肝癌検診では肝炎
ウイルスキャリア
を拾い上げることが最も重要である。
また, 地域肝癌検診成績から, 肝癌死亡は主にC型肝炎ウイルス感染に起因することが示唆された。従って肝癌検診の意義は, ハイリスク者 (特にC型肝炎
ウイルスキャリア
) を拾い上げ, 慎重な事後管理および生活管理によって, 肝癌の早期発見と肝癌発生の予防に努めることにある。
今後, 効果的な肝癌検診を行っていくためには, 十分な人材確保 (医師, 技師, 保健婦等) と検診から精査, 治療, 事後管理に至る適切なシステム化が不可欠である。
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