-70℃および0℃において,
エオシン
のアセトン溶液に酸素を通しつつ光照射を行なった。光照射の前後で溶液の吸収スペクトルの変化は300-700nmの領域でほとんど認められなかった。低温で光照射した溶液を昇温すると化学発光が観測された0その発光スペクトルは
エオシン
のケイ光スペクトルに-致することが明らかになった,温度上昇にともなう発光強度の変化を測定したところ,-70℃で光照射後,この温度より昇温した場合,発光強度が二度極大になったのち減衰した。0℃の場合には-つの極大があらわれた。これらの事実から-70℃では少なくとも二つの中間体,0℃では-つの中間体が生じていることがわかった。酸素とアントラセンを含む
エオシン
のアセトン溶液の光照射実験および消光剤を用いた実験から,低温の
エオシン
溶液を光励起したときに励起-重項酸素が生じていることを確かめた。この励起-重項酸素が溶媒のアセトンと反応し低温で比較的安定なペルオキシドやテトラオキシドを生成すると考えた。溶液の昇温により生じる化学発光の機構は,これらの中間体が熱分解のとき励起分子を生じ,
エオシン
にエネルギー移動し,
エオシン
のケイ光が化学発光として観測されたものと考えられる。
抄録全体を表示