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クエリ検索: "カサガイ"
346件中 1-20の結果を表示しています
  • 近藤 高貴
    貝類学雑誌
    1982年 41 巻 3 号 181-198
    発行日: 1982/10/31
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー
    マツ
    カサガイ属にはマツカサガイ
    , オバエボシガイ, オトコタテボシガイの3種が知られていた。これら3種について再記載を行なうとともに, 新種ニセマツ
    カサガイ
    の記載を行なった。ニセマツ
    カサガイはマツカサガイ
    に非常によく似ているが, マツ
    カサガイ
    より殻のふくらみが強く, 後縁がまるく少し湾曲していることにより区別できる。またグロキディウム幼生はマツ
    カサガイ
    とオバエボシガイでは楕円形の無鉤子幼生(いわゆるLampsilis型)であるのに対して, ニセマツ
    カサガイ
    では亜三角形の有鉤子幼生(いわゆるAnodonta型)でオトコタテボシガイの幼生に酷似している。しかし親貝では, オトコタテボシガイの殻頂はニセマツ
    カサガイ
    より前方に位置することでこの2種は容易に区別できる。マツ
    カサガイ
    属4種の類縁関係を主成分分析により調べた。その結果, マツ
    カサガイ
    が最も原始的な種と考えられ, ニセマツ
    カサガイはマツカサガイ
    から, オトコタテボシガイはニセマツ
    カサガイ
    から分化したものと推測された。またオバエボシガイはこれら3種とは系統的にかなり離れていると考えられた。
  • 中村 宏
    貝類学雑誌
    1982年 40 巻 4 号 225-231
    発行日: 1982/01/31
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー
    ツタノハガイ超科の3種の笠貝, コガモガイ・キクコザラガイ(ユキノ
    カサガイ
    科)と, ヨメガ
    カサガイ
    (ツタノハガイ科)について核学的研究を行なった。これまで, 本邦産のツタノハガイ超科の笠貝は, n=9の染色体数を持ち, 米国産のユキノ
    カサガイ
    科の笠貝は2n=20の染色体数であるとの報告がなされており, その違いが指摘されていた。しかし今回の研究により, 本邦産のものもユキノ
    カサガイ
    科の笠貝は, 米国産のものと同様に, 2n=20, n=10の染色体数を持ち, 一方, ツタノハガイ科のヨメガ
    カサガイ
    は, 2n=18, n=9の染色体数の持つ事が知られ, 核型の比較の結果, ツタイハガイ超科の笠貝の間で, 染色体数や染色体の形態に多様性の存在する事が明らかにされた。
  • 桑原 明大, 松葉 成生, 井上 幹生, 畑 啓生
    保全生態学研究
    2017年 22 巻 1 号 91-103
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
    愛媛県松山平野には、イシガイ、マツ
    カサガイ
    、ヌマガイ及びタガイの4種のイシガイ科貝類が生息しており、愛媛県のレッドリストでイシガイとマツ
    カサガイ
    はそれぞれ絶滅危惧I類とII類に、ヌマガイとタガイは準絶滅危惧に指定され、減少が危惧されている。これらの二枚貝は絶滅危惧IA類であるヤリタナゴの産卵床でもあり、その保全が重要である。本研究では、松山平野の小河川と湧水池において、イシガイ類の分布と生息環境の調査を行い、過去の分布との比較を行った。また、マツ
    カサガイ
    の殻長のサイズ分布、雌成貝によるグロキディウム幼生の保育、幼生の宿主魚への寄生の有無を調べた。マツ
    カサガイ
    は小河川の流程およそ3.3 km内の15地点で確認され、その生息密度は最大で2.7個体/m2であった。イシガイは小河川の2地点のみで、最大生息密度0.05個体/m2でみられ、ヌマガイとタガイを合わせたドブガイ類も1地点のみ、生息密度0.02個体/m2で確認された。いずれのイシガイ類も、1988-1991年の調査時には国近川水系に広く分布し、最大生息密度は、マツ
    カサガイ
    で58個体/m2、イシガイで92個体/m2、ドブガイ類で5個体/m2であり、この25年間に生息域と個体群サイズを縮小させていた。また、マツ
    カサガイ
    の在不在に関与する要因を予測した分類木分析の結果、マツ
    カサガイ
    の分布は河口に最も近い堰堤の下流側に制限され、砂泥に占める砂割合が38.8%より大きい場所で多く見られるという結果が得られた。このことから、堰堤が宿主魚の遡上を制限することによりマツ
    カサガイ
    の上流への分散が阻害されていること、マツ
    カサガイ
    は砂を多く含む砂泥を選好していることが示唆された。また、殻長51.5 mm未満の若齢個体にあたるマツ
    カサガイ
    は全く見つからなかった。一方、雌成貝は4-8月にかけ最大87.5%の個体が幼生保育しており、5-9月にかけ、グロキディウム幼生が主にシマヨシノボリに多く寄生していることが確認された。したがって、このマツ
    カサガイ
    個体群では再生産がおよそ10年間にわたって阻害されており、その阻害要因は稚貝の定着、または生存にあることが示唆された。以上のことから、松山平野では、イシガイ個体群は絶滅寸前であり、マツ
    カサガイ
    個体群もこのまま新規加入が生じなければ急速に絶滅に向かう恐れがあることがわかり、これらの保全が急務であることが示された。
  • 福本 一彦, 勝呂 尚之, 丸山 隆
    保全生態学研究
    2008年 13 巻 1 号 47-53
    発行日: 2008/05/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
    栃木県大田原市羽田ミヤコタナゴ生息地保護区のミヤコタナゴの減少原因を明らかにするため、羽田産マツ
    カサガイ
    及びシジミ属の産卵母貝適性実験を行った。その結果、羽田産マツ
    カサガイは久慈川産マツカサガイ
    に比べて産卵母貝としての利用頻度が低く、産着卵数が少なく、かつ卵・仔魚の生残率も著しく低いことが確かめられた。また、シジミ属は産卵母貝としての利用頻度が低く、産卵しても孵化しないことが裏付けられた。以上の結果から、1990年代後半の羽田ミヤコタナゴ個体群の急激な衰退の過程において、水源の水質悪化によって引き起こされたマツ
    カサガイ
    の生理的異常に起因するミヤコタナゴの産卵頻度の低下と、卵・仔魚の生残率の大幅な低下が重要な役割を演じた可能性が高いと考えられた。
  • 吉見 翔太郎, 井上 幹生, 畑 啓生
    保全生態学研究
    2018年 23 巻 1 号 99-114
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/23
    ジャーナル オープンアクセス
    愛媛県松山平野では、1990 年からの約25 年間に、淡水二枚貝のイシガイとマツ
    カサガイ
    が減少し、2017 年現在イシガイはほぼ地域絶滅し、マツ
    カサガイ
    も絶滅の危機にある。また、松山平野では、これらの二枚貝を産卵床とするヤリタナゴが生息するが、その分布域も急減し、かつ国内外来種のアブラボテと産卵床を巡って競合し、二種の間の交雑が生じている。そのため、ヤリタナゴ-マツ
    カサガイ
    共生系の保全が急務である。本研究では、人為的な管理が容易な自然再生地の保全区としての有用性を検討するため、二つの自然再生地(広瀬霞と松原泉)の、それぞれ1 地点と、上、中、下流の3 地点に加え、農業灌漑用湧水地である柳原泉の1 地点の、計5 放流区にマツ
    カサガイ
    を放流し、マツ
    カサガイ
    の生残率を追跡した。同時に、餌となる珪藻量や溶存酸素量などの環境条件の計測を行った。  その結果、広瀬霞で一年間の生残率が37%、松原泉下流で半年間の生残率が75%であった。他の3 放流区では一年の間に全ての放流個体が斃死した。これらの放流区が不適な要因として、珪藻類の密度の低さが挙げられた。生残が確認された広瀬霞や松原泉下流における珪藻類の密度は他の放流区と比べると高いが、国近川や神寄川のマツ
    カサガイ
    が自然分布する地点に比べると低い時期があった。また、広瀬霞と松原泉上流で、2015 年10 ~ 11 月に低酸素状態(3 ~ 5 mg/l)が発生した。追跡調査中、放流したマツ
    カサガイ
    個体が底質から脱出することが確認された。この行動は、その後二週間以内に死亡する個体で頻繁に見られ、不適な環境からの逃避と考えられた。柳原泉では、アブラボテの侵入と放流したマツ
    カサガイ
    への産卵が確認された。これらの結果から、マツ
    カサガイ
    とヤリタナゴの共生保全区を策定するには、珪藻類の密度が高く、一年を通して貧酸素条件が発生しない、アブラボテの侵入を管理できる場所とすべきであることが示唆された。放流後のモニタリングにおいては、冬季にマツ
    カサガイ
    の底質からの脱出がないこと、アブラボテの侵入がないことに留意する必要がある。本研究で用いた自然再生地では、珪酸の添加や、水を滞留させる構造を付加するなど、珪藻類を増加させる対策と、外来性の浮葉性植物を駆除し貧酸素状態を生じさせない対策をとり、保全地として再評価することが必要である。
  • 三浦 一輝, 斉藤 裕也, 伊藤 一雄, 大森 秋郎
    応用生態工学
    2014年 17 巻 1 号 41-46
    発行日: 2014/10/30
    公開日: 2014/12/08
    ジャーナル フリー
    埼玉県川島町における農業水路の改修工事に伴い,水路幅 1 m,長さ約 190 m の対象水路に高密度に生息していた希少生物マツ
    カサガイ
    の個体の救出と一時保管作業を行った.救出作業は淡水二枚貝の採捕経験がない者でも行えるよう,水を抜いた水路底あるいは掘削した底泥から熊手を用いて行った.また,マツ
    カサガイ
    は冬季には底質中に比較的深く潜行することから,パワーショベルを用いて表層 20 cm 以浅の底泥を掘削してその中からマツ
    カサガイ
    の回収を試みた.保管作業は,マツ
    カサガイ
    が定位するための底質を用意し室内で保管する方法と,底質を用意せず野外の池で簡便に保管する方法の 2 つを試み,3 ヶ月間保管した.結果,2 つの救出作業により 741 個体のマツ
    カサガイ
    が回収された.また,パワーショベルにより掘削した底泥からの個体の回収により全体の 17%にあたる 127 個体のマツ
    カサガイ
    が回収された.2 つの保管作業の結果,目視による死亡が確認された個体はなかった.これらの結果から,作業者の採捕経験の有無に関わらず作業を行えるように工夫を施すこと,パワーショベルを使用した掘削など,表層のみの採捕では救出できない個体や,底質深くに定位していた個体を回収する工夫を施すことは重要であると考えられた.但し,本事例では 20 mm 以下の小型の個体の有無の確認や回収は行うことができず,今後の事前調査や救出作業の工夫が求められた.また,2 つの保管作業は冬季において数ヶ月の間,個体を生きたまま保管できると考えられた.但し,個体が痩せるなどの生理的な状況については評価できておらず,より個体への負荷が少ない方法を確立する必要がある.今後,水路改修後の再生産の有無や生残数をモニタリングし,可能なかぎり順応的な管理を行っていく予定である.
  • 横川 浩治
    Venus (Journal of the Malacological Society of Japan)
    2014年 72 巻 1-4 号 29-48
    発行日: 2014/03/31
    公開日: 2016/05/31
    ジャーナル オープンアクセス
    日本産ヨメガ
    カサガイ
    科貝類7種(マツバガイ,ヨメガカサ,ベッコウガサ,オオベッコウガサ,クルマガサ,
    カサガイ
    ,シワガサ)と1亜種(アミガサ)について殻形態の成長に伴う変化を調べた。成長に伴う殻形態変化では,多くの種または亜種で殻径,殻高,内面着色域径などが成長に伴って相対的に大きくなり,特にマツバガイと
    カサガイ
    では殻のほとんどの部位で成長に伴う相対的増大がみられた。一方ベッコウガサとクルマガサでは殻の全部位で成長に伴う変化はなく,またシワガサでは殻高が成長に伴って相対的に小さくなることが特徴的であった。殻頂の相対的な位置は
    カサガイ
    では成長に伴って後方に移動するが,それ以外の種と亜種では殻頂の相対位置は個体サイズに関係なく一定であった。計数形質としてマツバガイの放射彩数およびアミガサと
    カサガイ
    の放射肋数を調べたところ,これらすべてで成長に伴う顕著な増加がみられた。内面着色域の色彩は種ごとにかなり独自性がみられたが,オオベッコウガサと
    カサガイ
    では成長に伴う明瞭な変化がみられ,小型個体にみられる暗褐色の地色の上に別の色の新たな層が徐々に形成されていくものと考えられた。以上のように,日本産ヨメガ
    カサガイ
    科貝類では成長に伴って殻の多くの形質が変化し,そのパターンには顕著な種特異性があることが明らかになった。
  • 畑 啓生, 東垣 大祐, 小笠原 康太, 松本 浩司, 山本 貴仁, 村上 裕, 中島 淳, 井上 幹生
    保全生態学研究
    2021年 26 巻 2 号 論文ID: 2111
    発行日: 2021/10/31
    公開日: 2021/12/31
    [早期公開] 公開日: 2021/10/31
    ジャーナル オープンアクセス
    電子付録

    イシガイ科マツ

    カサガイ
    は、本州、四国、九州に分布する日本固有の淡水性二枚貝である。流水のある淡水域を選好し、現在ではその主な生息地は農業用水路となっている。本研究では、愛媛県の道前平野における農業用土水路にて、マツ
    カサガイ
    の新たな生息地が確認されたため報告する。愛媛県では、マツ
    カサガイ
    は、松山平野南部と宇和盆地のみに生息が知られていたが、それらの地域では分布域と密度が急速に減少しており、愛媛県特定希少野生動植物として条例で保護されている。道前平野において、圃場整備の一環として流路が変更される予定である農業用水路で調査した結果、水面幅約 1m、流路長 440 mの範囲の土水路ほぼ全域にわたって、最大密度 20個体 /m2で、計 651個体の生息が確認され、 1249個体の生息が推測された。土水路中で一部、二面コンクリート護岸が施されている場所では、確認された個体数は著しく少なかった。マツ
    カサガイ
    の殻長は 41.7 ± 5.8 mm(平均 ±標準偏差)で、松山平野の国近川の個体群と比較すると、平均値に対する標準偏差の値が大きく、 20 mm程度の幼貝もみられたため、本土水路では、国近川に比べマツ
    カサガイ
    の寿命は短いものの、複数回の再生産が生じていると考えられる。この農業用の水路網は一級河川が作る扇状地に網目状に広がり、周辺は一面に水田が広がるが、圃場整備により、土水路が残されるのは本研究地区のみとなっており、最後に残されたマツ
    カサガイ
    生息地の断片と考えられる。マツ
    カサガイ
    は全国的にみても準絶滅危惧であり、この個体群の保全が求められる。淡水性二枚貝類は人為的影響により減少が危惧されるため、圃場整備を行いながらの保全の実践は、他地域のためにも先行例となる。

  • 秋山 吉寛, 伊藤 寿茂, 吉田 豊, 丸山 隆
    日本生態学会大会講演要旨集
    2003年 ESJ50 巻
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/09/02
    会議録・要旨集 フリー
  • 伊藤 寿茂, 斉藤 裕也, 佐藤 喜治, 伊藤 一雄
    陸水学雑誌
    2016年 77 巻 3 号 281-291
    発行日: 2016/01/14
    公開日: 2017/10/14
    ジャーナル フリー

     群馬県藤岡市の旧笹川と岡之郷用水,埼玉県川島町の長楽用水に生息するマツ

    カサガイ
    について,その幼生が寄生利用している魚種を調べた。各水域で魚類を採集して個体数を計数するとともに,各魚種に対するマツ
    カサガイ
    幼生の寄生数を魚の部位別,被嚢の有無別に計数した。さらに,岡之郷用水で採集したジュズカケハゼ類を水槽(水量6 L,水温24~27℃)で10日間飼育し,魚体から離脱する幼生や稚貝の有無を確認した。
     採集された各魚種に対するマツ
    カサガイ
    幼生の寄生率や寄生数,被嚢率は,水域や魚種,寄生部位によって違いが見られた。幼生は,旧笹川と岡之郷用水においてはドジョウやオイカワ等を主とした限られた魚種にしか寄生していなかったが,長楽用水においてはオイカワやメダカ類,ヨシノボリ類,コイといった多様な魚種に寄生していた。
     さらに,飼育に供したジュズカケハゼ類からは,変態を完了させたマツ
    カサガイ
    稚貝が3個体離脱した。これらを試験管(水量30mL,水温約21℃)で飼育したところ,最長で62日間以上生存した。このことから,ジュズカケハゼ類がマツ
    カサガイ
    の宿主として機能することが判明した。
     以上の結果から,マツ
    カサガイ
    は,その生息水域によって利用する宿主の種類が異なり,宿主適合性も異なることが示唆された。

  • 近藤 高貴
    貝類学雑誌
    1998年 57 巻 2 号 85-93
    発行日: 1998/07/31
    公開日: 2018/01/31
    ジャーナル フリー
    オトコタテボシガイ属にはオトコタテボシガイとニセマツ
    カサガイ
    の2種が知られていたが, その他にもう1種いることが最近明らかになった。原記載の文献を調べた結果, この種はマツ
    カサガイ
    の異名とされていたヨコハマシジラガイyokohamensisと同定された。この種と同じくマツ
    カサガイ
    の異名とされていたハコネシジラガイhaconensisはヨコハマシジラガイの異名であることも判明した。ヨコハマシジラガイの殻は細長く, 殻頂は成長するにつれて前方に位置するようになり, オトコタテボシガイとの区別が困難になる。しかし, オトコタテボシガイは琵琶湖固有種で, 両者の分布域が重ならないため区別可能である。ニセマツ
    カサガイ
    の殻は丸みを帯び, その後端が少し歪曲することでヨコハマシジラガイとは区別できる。また, ヨコハマシジラガイのグロキディウム幼生は他の2種より一回り小さかった。
  • 近藤 高貴
    Venus (Journal of the Malacological Society of Japan)
    2023年 81 巻 1-4 号 39-46
    発行日: 2023/06/20
    公開日: 2023/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    マツ

    カサガイ
    属は1属1種と考えられていたが,遺伝子解析によって3群(Pronodularia cf. japanensis 1~3 in Lopes-Lima et al., 2020)とされた。しかし,マツ
    カサガイ
    のタイプ産地は「Japan」としか記載がなく,マツ
    カサガイ
    の学名に該当する個体群は3群のどれか確定されていなかった。そこで3群の殻形態比較により,マツ
    カサガイ
    のタイプ標本に最も近い形状を示す地域個体群(北東本州固有種 P. cf. japanensis 3)を確定し,本種の再記載を行った。また,タイプ標本の採集地が江戸(東京)周辺の関東地方と推測された。

    なお,広域分布種と東海固有種とされる2群はそれぞれ有効種なのか不明確で,今後更なる遺伝学的および形態学的な解析を進める必要がある。

    Pronodularia japanensis(Lea, 1859)マツ

    カサガイ

    レクトタイプ:NHMUK 1965181(ロンドン自然史博物館),殻長48.3 mm,殻高27.8 mm,殻幅15.2 mm。

    タイプ産地:日本(詳しい地名は不明。ただし,東京近郊の関東地方と推測された。)

    分布:東北から関東地方の太平洋側に固有。

    形態:殻は細長く,平たい。前縁は丸く,後縁は角張る。殻表面には逆V字状の彫刻があり,後背縁の放射肋は明瞭である。殻表は暗褐色で,真珠層は白色である。幼生は亜円形で,殻長と殻高が等しい。

    生態:小川や用水路の礫~砂泥底に生息する。

    繁殖:流下幼生は5月から9月にかけて見られる。

    備考:他の2群とは遺伝的に異なっている。また,他の2群より殻が平たく,殻幅比(SW/SL)が0.364以下であれば本種と同定可能(正判別率=75%)。

  • 藤田 大介
    日本ベントス学会誌
    1992年 1992 巻 42 号 49-54
    発行日: 1992/01/25
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    Lithophyllum yessoense, a dominant crustose coralline alga on lsoyake (urchin-dominated barren) ground in southwestern Hokkaido, was experimentally fed to the sea urchin Strongylocentrotus nudus (3cm in test diameter) and the limpet Acmaea pallida (2cm in shell length) in the laboratory. Grazing marks of the urchin were composed of pentagonally-arranged five strips, and scattered on the crust surface. The wound was 0.01mm deep within sacrificial epithallium, and crust surface of 0.20mm2 was removed by one biting. The limpet grazed more densely and deeply (0.04mm) enough to remove distal columnar cells as well as epithallial cells. Crust surface of 0.43mm2 was removed by one biting. The urchin-grazing marks (shallow wounds) became vague by the usual production of epithallial cells in 5 days. On the contrary, the limpet-grazing marks (deep wounds) recovered by regeneration of the intact columnar cells in 10 days. The production of epithallial cells and the regeneration from columnar cells must be the important nature to elucidate the vigorous coverage of this species under high urchin-grazing pressure in the Isoyake ground.
  • 近藤 美麻, 伊藤 健吾, 千家 正照
    農業農村工学会論文集
    2011年 79 巻 2 号 117-123
    発行日: 2011/04/25
    公開日: 2012/04/25
    ジャーナル フリー
    2008年5月から10月にかけて岐阜県に位置するビオトープ池と隣接排水路,その間に設置された魚道において魚類を採捕し,イシガイ類幼生の寄生状況を調査した.その結果,イシガイ類幼生の主な寄生主は,イシガイおよびトンガリササノハガイではオイカワ,ドブガイおよびマツ
    カサガイ
    ではヌマムツであった.また,魚道において採捕した魚類のうち,ビオトープ池から排水路への降下魚と排水路からビオトープ池への遡上魚におけるイシガイ類幼生の寄生状況を比較した結果,遡上魚よりも降下魚において平均寄生数が大きく,かつ,寄生幼生の総数も多い結果となり,ビオトープ池がイシガイ類の繁殖場所としての機能を持ち,周辺水域への分布域の拡大や個体数維持に貢献していることが示唆された.
  • 伊藤 寿茂, 松井 華花, 柿野 亘
    伊豆沼・内沼研究報告
    2023年 17 巻 63-70
    発行日: 2023/07/11
    公開日: 2023/07/11
    ジャーナル フリー

    ササノハガイの幼生について,その宿主として機能する魚種を飼育下で判定した.飼育下で放出された幼生を人為的に寄生させた5魚種(カワムツ属の1種,アブラハヤ,ドジョウ,ミナミメダカ,ヨシノボリ属の1 種)を実験水槽内で14 日間飼育して,魚体からの幼生と稚貝の離脱を確かめたところ,供試した5 魚種すべてから,変態を完了させた稚貝が認められた.これらのうち,アブラハヤとドジョウ,ミナミメダカの3 魚種がササノハガイ幼生の宿主として新たに判明した魚種となる.

  • 稲留 陽尉, 山本 智子
    保全生態学研究
    2012年 17 巻 1 号 63-71
    発行日: 2012/05/30
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
    タナゴ類は、コイ科タナゴ亜科に属する魚類で、繁殖を行う際に二枚貝を産卵床として利用することが最大の特徴である。鹿児島県には、アブラボテTanakia limbata、ヤリタナゴT. lanceolata、タイリクバラタナゴRhodeus ocellatus ocellatus 3種のタナゴ類が生息し、北薩地域は、アブラボテの国内分布の南限となっている。アブラボテなど在来タナゴ類は、外来タナゴ類との競合や種間交雑が危惧されているが、鹿児島県内ではこれらのタナゴ類の詳細な分布の記録が残っておらず、在来種と外来種が同所的に生息する状況についても調べられていない。そこで本研究では、北薩地域を中心にタナゴ類とその産卵床であるイシガイ類の分布を調べ、同時にタナゴ類各種によるイシガイ類の利用状況を明らかにすることを目的とした。調査は、2007年4月から2008年10月まで、鹿児島県薩摩半島北部の16河川で行った。タナゴ類はモンドリワナを用いて採集し、イシガイ類は目視や鋤簾による採集で分布を確認した。採集したイシガイ類の鯉を開口器やスパチュラを使って観察し、タナゴ類の産卵の有無を確認した。アブラボテとタイリクバラタナゴが各5河川で確認され、ヤリタナゴは1河川でのみ採集された。このうち2河川ではアブラボテが初めて確認され、アブラボテとタイリクバラタナゴの2種が生息していた江内川では、両種の交雑種と見られる個体が採集された。イシガイ類については、
    マッカサガイ
    Pronodularia japanensis
    ニセマツカサガイ
    Inversiunio reinianus yanagawensis、ドブガイAnodonta woodianaの3種の分布が確認された。それぞれのタナゴ類は、産卵床として特定のイシガイを選択する傾向が見られたが、交雑種と思われる個体も採集された。このことから、それぞれの好む二枚貝の種類や個体数が限られた場合、この選択性は弱くなるものと考えられる。
  • 中野 光議, 木村 哲平
    保全生態学研究
    2017年 22 巻 2 号 351-360
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
    滋賀県長浜市木之本町を流れる農業水路において、イシガイ科二枚貝類(以下、イシガイ類)の生息状況、およびイシガイ類の密度と水路環境との関係を明らかにすることを目的に研究を行った。2015年10月?11月に水路の物理環境とイシガイ類の生息状況を調査した結果、マツ
    カサガイ
    、カタハガイ、タガイ、ササノハガイ、オバエボシガイ、タテボシガイ、ニセマツ
    カサガイ
    の7種合計347個体のイシガイ類が採捕された。ニセマツ
    カサガイ
    を除く6種について、それぞれの密度と水路環境との関係について一般化線形モデル(GLM)を使用して解析した。その結果、マツ
    カサガイ
    とカタハガイは砂が多く、底質が硬く、水深が浅い場所、タガイは砂が多く、底質が硬く、水深が浅く、流速が遅い場所、ササノハガイは砂が多く、底質が硬い場所、タテボシガイは底質が硬く、流速が遅い場所に多い傾向が示された。オバエボシガイについては、密度と環境要因との関係が不明瞭であった。イシガイ類保全のために水路環境の保全・復元を行う場合、種間差に配慮して多様な環境を維持・創出することが必要と考えられる。
  • 伊藤 寿茂, 丸山 隆
    伊豆沼・内沼研究報告
    2021年 15 巻 79-86
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル フリー

    淡水二枚貝であるマツ

    カサガイ
    北東本州固有種の幼生の宿主としてのウグイとニホンアカガエルのオタマジャクシの有用性を調べた.水田用水路で幼生を寄生させた供試個体を水量6L,水温22.3±0.2℃の水槽内で13 日間にわたり継続飼育しつつ,離脱してくる幼生と稚貝の数を毎日計数した.すると,幼生の寄生処理後,平均して9 日目(6 日目から11 日目にかけて)に,ウグイから生きた稚貝が検出された.一方で,ニホンアカガエルからは稚貝が検出されなかった。ウグイでは,寄生した幼生の27%以上が稚貝への変態に成功したことから,ウグイはマツ
    カサガイ
    北東本州固有種の幼生にとって適合度の高い宿主とみなせる.

  • 中田 和義, 小林 蒼茉, 川本 逸平, 宮武 優太, 青江 洋
    応用生態工学
    2017年 20 巻 1 号 33-41
    発行日: 2017/09/28
    公開日: 2018/01/15
    ジャーナル フリー

    本研究では,国内希少野生動植物種のスイゲンゼニタナゴを含む希少タナゴ類の保全手法の 1 つとして,人工産卵床に着目した.そして,希少タナゴ類が産卵場として利用する人工産卵床の二枚貝類の条件を解明することを目的とし,岡山県南部の農業水路に人工産卵床を設置する野外実験を行った. 本実験では,タナゴ類の繁殖期である 2014 年 3 月から 8 月に,二枚貝類 3 種(イシガイ,マツ

    カサガイ
    ,トンガリササノハガイ)を収容した長さ 50 cm × 幅 36 cm × 高さ 8 cm の長方形型トレーを人工産卵床として農業水路の実験地点に設置した.実験は第 1 ~7 期の実験期間を設けて実施し,1 期当たりの期間は 3 週間とした.各実験期間の終了後,人工産卵床の二枚貝類は実験室の水槽内で個体別に飼育し,二枚貝類から浮出する仔魚の個体数記録と種同定を行った.実験の結果,人工産卵床の二枚貝類からは,全実験期間を通して合計 679 個体のタナゴ類の仔魚が浮出した.その内訳は,イシガイから 420 個体,マツ
    カサガイ
    から 259 個体であり,トンガリササノハガイからの仔魚の浮出はなかった.生残した仔魚の種同定の結果,人工産卵床の二枚貝類から浮出した種は,個体数が多かった順にタイリクバラタナゴ,アブラボテ,ヤリタナゴ,カネヒラの 4 種であった.秋産卵型のカネヒラについては,本実験の実施前年に産卵したと考えられ,個体数は 9 個体のみであった.出現個体数の多かったタイリクバラタナゴ,アブラボテ,ヤリタナゴの二枚貝種選好性については,タイリクバラタナゴがイシガイとマツ
    カサガイ
    から浮出したのに対して,アブラボテとヤリタナゴはマツ
    カサガイ
    からのみ浮出が確認された.マツ
    カサガイ
    から浮出した仔魚の個体数は,タナゴ類 3 種間で有意差がみられ,タイリクバラタナゴに比べてアブラボテとヤリタナゴの浮出個体数が多かった.また,1 個体のイシガイとマツ
    カサガイ
    からは,それぞれ最大で 22 個体と 16 個体の仔魚が浮出した.同一個体のイシガイおよびマツ
    カサガイ
    から,タナゴ類 2 種または 3 種の仔魚が浮出した例も確認された.本実験では,スイゲンゼニタナゴの人工産卵床の利用は確認されなかった.今後の研究では,スイゲンゼニタナゴが人工産卵床を利用する条件を解明する必要がある.

  • 秋山 信彦, 今井 秀行, 小笠原 義光
    水産増殖
    1994年 42 巻 2 号 231-238
    発行日: 1994/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    ミヤコタナゴの繁殖用産卵基質として用いるカワシンジュガイの有効性を調べ, ほかに6種の淡水産二枚貝と比較検討した。7種の二枚貝をミヤコタナゴの産卵用水槽に入れた場合, ミヤコタナゴは, カワシンジュガイに対して最も多く繁殖行動を行い, 産卵した卵・仔魚数もカワシンジュガイが最も多かった。しかし, カワシンジュガイを除くと, ミヤコタナゴは特定の種だけに繁殖行動を多く行うことはなく, 産卵した卵・仔魚数も極少数であった。
    実際にカワシンジュガイを用いて, ミヤコタナゴを繁殖した結果, 雌1個体・1か月あたりの浮出仔魚数は6.65と6.81個体であり, 従来用いられてきた産卵基質二枚貝で繁殖した場合より多かった。
    以上の結果から, カワシンジュガイは, ミヤコタナゴを増殖させるための産卵基質として有効であると, 考えられる。
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