青森県下北半島北西部の恐山地域において, 森林棲翼手類相を調査し, 生態の若干について検討した。
1) 採集された種類は次の8種で, 恐山は今までに調査された地域に比して豊富な翼手類相を示した。
ニホンコキクガシラコウモリ
Rhinolophus cornutus coynutus,
ニホンキクガシラコウモリ
Rhinolophus ferrumequznum nippon,
シナノホオヒゲコウモリ
Myotis hosonoi,
カグヤコウモリ
Myotis frater kaguyae,
モモジロコウモリ
Myotis macrodactylus,
ナミエヒナコウモリ
Vespeytilio superans,
モリアブラコウモリ
Pipistyellus endoi, ニホンコテング
コウモリ
,
Murina silvatica.なお, モリアブラ
コウモリ
は青森県からの新記録である。
2) 調査地点により種組成が異なる結果を得た。
3) 捕獲数は日没後の19時~21時に最大のピークを示し, 22時~23時に第2のピーク, 明け方の4時~5時に第3のピークを示した。このピークは, 調査地点を採餌場所への移動経路として, あるいは採餌場所として利用している種によって示されたものと考えられる。
4) 採集された8種のうち, コキクガシラ
コウモリ
, シナノホオヒゲ
コウモリ
, カグヤ
コウモリ
, モモジロ
コウモリ
, モリアブラ
コウモリ及びコテングコウモリ
の6種に乳腺の発達した個体が見られた。また, シナノホオヒゲ
コウモリ
, モモジロ
コウモリ
, モリアブラ
コウモリ及びコテングコウモリ
の4種に幼獣が出現し, 8月中旬には飛翔していた。
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