この論文の目的は, 今後, 東成瀬村に在住する高齢者の口腔の健康を維持・増進するための手段として企画されている60歳, 70歳を対象とした口腔健診, いわゆる節目健診を有効に運用するために, 平成16年度まで当村において成人総合健診の一部として行われていた口腔健診の結果を分析し, 東成瀬村における今後の課題を明らかにすることである。
調査対象は, 平成11年度から16年度までに口腔健診を受診した60歳以上の方, 年平均約500人である。受診率, 喪失歯数, 歯周組織の状況および歯磨きの頻度などを男女別・年齢別および経年的に検討した。
その結果, 受診率は現在歯数が比較的多い60~74歳においては減少し, 現在歯数が少ない75歳以上においてむしろ増加した。女性は喪失歯数が多いにもかかわらず, 口腔内の管理状況および歯周組織の状態は男性と比べると良い結果であった。さらに男女ともに, 歯磨きの回数・時間が年々増加し, また一人平均の喪失歯数の減少が認められた。
東成瀬村の口腔健診は, 成人総合健診の一部として行われていたがために, その受診率を高く維持することができたと考えられる。したがって, 今後の節目健診においても高い受診率を維持するために, 受診者が自ら口腔健診を受けたくなるような体制・環境を構築することが課題となった。
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