【目的】慢性心不全患者の治療アドヒアランス向上や適切な自己管理能力の獲得は心不全増悪の予防に繋がり、生命予後延長やQOLの改善が期待できることが近年報告されている。またアドヒアランスの決定因子である自己効力感を向上させることが自己管理能力の向上に繋がると言われている。しかし、自己管理の指導方法は散見される程度でまだ確立されていない。そこで心不全で再入院を繰り返す患者に対し、テスト形式による自己管理指導が自己効力感に及ぼす影響について検証したため報告する。
【方法】当院に心不全が原因で入院しつつ認知機能に問題が無く机上のテストに回答ができる計12名の患者を対象とし、介入群6名、Control群6名の2群に分類した。介入群では看護師・薬剤師・栄養士による標準的な指導に加え、理学療法士が心不全手帳に基づき健康管理における机上のチェックテストを実施。Control群では看護師・薬剤師・栄養士・理学療法士による標準的な指導を実施。 効果判定は慢性疾患患者の健康行動に対するセルフエフィカシー尺度を使用し、統計解析はwelchのt検定を用い有意水準を5%とした。
【倫理的配慮】ヘルシンキ宣言に基づき、対象患者には本研究の旨を説明し同意を得た。
【結果】介入群は効果量6.83±5.64、Control群は効果量−0.17±1.17との結果となり、介入群はControl群と比較し有意に高値を示した。
【考察】Reflection活動と呼ばれる自身の課題や知識を振り返り再検討する行為は、促されることで記憶の定着と意識の変容に繋がることが報告されている。今回実施したテスト形式による介入はReflection活動にあたるとされ、Reflection活動となるテスト形式の介入を意識的に行うことにより、知識向上と意識変容が促され自己効力感の向上が図られたと考える。実際に心不全患者においての自己効力感向上が心不全患者の再入院率に及ぼす影響については今後の研究で明らかにしたい。
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