日常生活にはプッシュスイッチで操作する電子機器が多いため, これらの機器の操作性向上には適切なスイッチ配置が必要になる. 本研究では, 動作計測と三次元上肢モデルによる解析により, プッシュ姿勢の生体力学的決定基準を探索した. その結果, プッシュ姿勢は, 関節モーメントが小さく, スイッチの操作方向に可操作力が大きくなるように決定されていることがわかった. このため, 関節モーメントと可操作力を決定基準として上肢モデルから上肢到達域内の押しやすい位置と方向を計算し, 立位で操作するATMや券売機と座位で操作する自動車スイッチ配置へ応用した. その結果, 立位では850-1,150mmの高さにおいて関節モーメントが少なく, この範囲内の上方では水平から手前に60°傾け, 下方では30°傾けた面が押しやすいことがわかった. また, 自動車スイッチとしては
センターコンソール
, Aピラー, ルーフも押しやすいことがわかった.
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