【目的】グア
テマラ
共和国(以下,グア
テマラ
)学童の栄養課題を,日本の戦後以降の学童の体格データや学校給食の歴史との比較により明らかにすること,その上で,グア
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学童の栄養状態改善に学校給食が果たす役割と必要な方策について考察すること。
【方法】2017年にグア
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S市(以下,S市)で測定した学童3,282名の身長と体重を,学校保健統計より得た日本の学童のデータと比較した。両国の学校給食の歴史や内容の情報は,文献調査とグア
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現地調査で収集した。学校給食の栄養量は,写真資料(文献・現地撮影)等から使用食品と分量を推定して算出した。
【結果及び考察】2017年のS市の6~12歳学童の平均身長と体重は,同年の日本の学童よりも低値を示し,特に身長は,深刻な栄養不足下にあった1948年の日本の学童に近い値であった。両国の学校給食の歴史を比較すると,日本では戦後,昼食として中断なく提供されてきたが,グア
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では補食として提供され複数回の中断があった。また,日本では1947年の学校給食開始後7年で学校給食法が制定されたが,グア
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では1959年の学校給食開始から同法制定に58年を要した。
【結論】学校給食開始約60年後にも,S市の学童において,単なる栄養不良のみでなく年齢相応に身長が伸びない発育阻害の存在が示唆された。日本では学童の体格向上に学校給食が寄与したことから,S市学童の栄養改善と体格向上には学校給食法に基づく栄養価の高い給食の持続的提供が必要と考えられる。
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