1.ヒ卜の味覚刺激物質の水溶液濃度と0日令幼虫の発育について調査したところ,
デナトニウム
ベンゾエイト(苦味)は200mM,クエン酸(酸味)は1,000mM,塩化ナトリウムは2,000mM,スクロースは750mMで,羽化を100%阻害しこの時のIC
50値は,それぞれ35.44, 313.02, 331.39および218.02mMを示した.
2.0日,2日および4日令幼虫の処理培地での発育を,0日令100%羽化阻害濃度で調査したところ,
デナトニウム
ベンゾエイト,クエン酸では,それぞれの発育ステージの幼虫は,無培地区と比較して,ほぼ同様の発育を示したが,塩化ナトリウム,スクロースでは,2日令の蛹化率と羽化率,4日令の羽化率は,前蛹を含む幼虫の死亡,蛹の発育不全により,無培地区の14~66%に低下した.
3.前項と同じ発育ステージおよび濃度で,培地における幼虫の行動を観察したところ0日および2日令幼虫は,
デナトニウム
ベンゾエイト,クエン酸,塩化ナトリウムでは30分以内に,ほぼ100%が培地から這い出す行動を示したが,スクロースでは,この忌避行動による定着率の低下は,緩やかに起こる傾向があった.
4.これらの結果から,イエバエ幼虫の発育を阻害する要因として,
デナトニウム
ベンゾエイ卜,クエン酸では,忌避の結果,摂食が行われなかったことが考えられ,塩化ナトリウム,スクロースでは,幼虫に対する忌避作用とともに,幼虫,蛹に対する致死効果があることが推定された.
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