divinyl chlorophyllide reductase (DVR)はクロロフィル合成系においてBリングの
ビニル基
をエチル基に還元する。シロイヌナズナのDVR(AtDVR)は変異体を利用して同定されたが、
AtDVRと相同な遺伝子をもたないラン藻が存在する。ラン藻のモデル生物として利用されている
Synechocystis sp. PCC6803のゲノムにも
AtDVRと相同な遺伝子は存在しない。
AtDVRと相同性のある遺伝子を持たないラン藻に共通に存在する遺伝子がラン藻の
DVRであると仮定し、ゲノムを比較することにより
Synechocystis sp. PCC6803のSlr1923がDVRであると予測された。その破壊株では
ビニル基
が還元されない。そこでSlr1923の組み換え体を作製したところ、
ビニル基
を還元し、Slr1923がDVR(SyDVR)であることが示された。
ラン藻の中には
SyDVRではなく、
AtDVRと相同な遺伝子をもつものがある。そのような遺伝子が
ビニル基
を還元する活性を持つかどうか調べた。海洋性のラン藻
Synechococcus WH8102は
SyDVRではなく
AtDVRと相同な遺伝子を持つ。その組み換え体を作製したところ、
ビニル基
を還元し、DVRであることが示された。
以上より、ラン藻には二種類のDVRが存在することが明らかとなった。
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