【目的】浜松医科大学では、平成28年から臨床研究倫理委員会に申請された自施設の研究者が主導するすべての介入研究に対して、臨床研究センターの教職員による、研究の科学性と倫理性の向上を目的とした研究計画書のブ
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を行ってきた。今回、我々が行ってきたブ
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の質の向上をはかる目的でアンケート調査を行ったので、その結果と改善点などを報告する。
【方法】令和4年2月から令和5年5月までの期間に、生命科学・医学系研究倫理委員会に新規申請された介入研究17課題の研究責任者と申請者など25名に、1)ブ
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の満足度と要した時間や担当者の対応など(5項目)、2)科学的質の向上への貢献(8項目)(以上、5段階のリッカートスケール)、3)研究計画書の記載が難しかった項目(複数回答)についてのアンケートをgoogle formで実施した。アンケートで得られた情報はCSポートフォリオ分析を行い、ブ
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における維持すべき点と改善をすべき点を抽出した。
【結果・考察】アンケートは23回答が得られた。ブ
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に対する全般的満足度は平均で4.97ポイント(pt)と極めて高い評価を受けた。またブ
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が研究の科学性の向上に貢献したかという設問に対しても4.96ptと高い評価を受けた。CSポートフォリオ分析の結果から、全般的な満足度において担当者の対応(5.0pt)とブ
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の理解のしやすさ(4.91pt)は良好な評価を受け、これらは今後も維持すべき点として抽出された。一方、ブ
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に要する時間(4.21pt)が相対的に低評価であり改善すべき点として抽出された。また、研究の科学性の質の向上への貢献に関連した項目では、研究の方法とデザイン(5.0pt)、研究目的(4.86pt)への修正提案は良好な評価を受け、今後も維持すべき点として抽出されたが、目標症例数とその設定根拠(4.68pt)、統計学的解析方法(4.73pt)についての修正提案が改善すべき項目として抽出された。
【結論】我々が実施してきた研究計画書のブ
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に対する研究者の全般的満足度と研究の科学性の向上への貢献は高い評価を受けた。一方では、CSポートフォリオ分析から、ブ
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に要する時間の短縮と、統計関連事項が今後の改善すべき点であることが明らかになった。
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