1) 既報の研究で分類された
レモングラス
の4系統群より代表的な7系統を選び, 温室栽培よりえられた葉を葉身, 葉鞘ともに上半部と下半部にわけ, 葉の部位と含油率, 油のシトラールおよびミルセン含量との関係ならびにこれらの系統間差異について研究を行なつた.
2) 葉部位による含油率の変異についてはどの系統でも全般的に変異幅が広く, かつ系統にもとつく差異が顕著である.とくに東インド
レモングラス
Cymbopogon flexuosus Stapfに属するとみられる第1群の系統14と西インド
レモングラス
C.citratus Stapfに属する第2~4群の諸系統との差が顕著で, 前者では含油率が全体的に高く, かつ葉部位による変化の比較的少ないことが特徴である.
3) 第2~4群の諸系統ではすべて含油率は葉身上部で最も高く, 葉鞘上部に向つて低下し, 葉鞘下部で再びやや上昇するが, この含油率の変化の詳細については顕著な系統間差異がみられる.
4) 油のシトラール含量については葉部位による変化は全般的に含油率の場合に比べるとはるかに少ないが, シトラール含量そのものについてはかなりの系統間差異が認められ, とくに系統14でシトラール含量が全般的に高く, かつ葉部位による変化の最も少ないことが注目される.
5) 油のミルセン含量はどの系統でも葉身に比べて葉鞘で著しく低いが, 葉身, 葉鞘ともに上部と下部との差はあまり明らかでない.一方ミルセン含量そのものは系統による変異が著しく, とくに系統14で低いことが確認された.
6) 以上のような葉の部位と含油率, シトラールおよびミルセン含量との関係は
レモングラス
油の実際生産上極めて重要な要素と思われ, このような立場から優良系統の選定がなされた.
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