不登校
児童生徒数は年々増加の一途にあるが,
不登校
の状態にある青少年のメンタルヘルスに関する研究は日本ではほとんどなく,
不登校
生に対するサービスやサポートの体制も流動的である。本研究の目的は,
不登校
生のメンタルヘルスの状態を明らかにすることである。方法として, 調査の同意が得られた都内通信制サポート校に在籍する
不登校
経験者を対象に, 現在の状況と過去に不 登校であった時の状況を2度にわたって調査した。対照群は都内公立中学校の生徒である。分析方法として, 「中学時に
不登校であった対象者が回顧した不登校
時の状況 (中学時
不登校
群)」と「対照群」との比較, および
不登校
経験群の「現在と過去 (
不登校
当時)」の比較を行った。その結果, 「中学時
不登校
群」は「対照群」よりも, また
不登校
経験群の「過去」は「現在」よりもストレスが強, ソーシャルサポート感が弱いことが示された。また,
不登校
経験群における「現在」と「過去」の比較では, ソーシャルサポート感について男女差が見られ, 特に女子で過去に受けていたサポート感の認知が低いことが示された。一方, 身体症状や学習面での劣等感は「過去」から「現在」への変化が小さく,
不登校経験者が不登校
当時から持続して抱えている問題であると考えられた。今後の研究の方向性として, 現在
不登校
にある生徒のメンタルヘルスのアセスメント, 介入方法についての
不登校
経験者からの意見の聴取, そしてそれに基づくさまざまなプログラムやサポートの効果測定などが必要と考えられる。
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