昭和55年1月から昭和61年12月までの7年間に聖マリアンナ医科大学皮膚科を受診した帯状疱疹患者数は新患531人であつた。また同期間で入院を要した患者は174人であつた。年間平均患者数は76.7人であり外来新患患者総数に対する割合は2%であつた。入院を要した患者は帯状疱疹外来患者総数の約32%を占め, 皮膚科入院患者総数の約26%を占めていた。年令では男子が20才代, 女子では50才代が最も多く, 男子272人, 女子259人で男女差は認められなかつた。季節性はとくに認められなかつたが7月にピークがみられた。罹患部位は胸上肢が約4割を占め, ついで頭頸部, 腹腰部, 臀部および下肢の順であつたが, 入院を要した患者では頭頸部, 胸上肢, 臀部および下肢, 腹腰部の順であつた。種々の臓器の癌, 糖尿病, 膠原病などの基礎疾患を有していた患者は95人であつた。帯状疱疹罹患の合併症としては, 三叉神経第1枝領域に生じた帯状疱疹の約9%の19人に角膜炎, 虹彩炎がみられた。また髄膜炎を合併した症例は4人認められた。治療はほとんどの症例において消炎鎮痛剤の内服と抗生物質含有軟膏の外用を中心に行つた。皮疹の拡大傾向を認めた症例, 疼痛の激しい症例などでは
γ-globulin製剤, アシクロビル, 神経ブロック療法などを併用した。帯状疱疹後神経痛が認められた症例は50人で約7%であつた。
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