スッポン稚鼈の越冬試験で, おおいをして加温したA区, おおいのみで保温したB区, 自然状態のC区の3池で1977年12月5日~1978年3月31日まで試験を行い (第1期試験) , その後はおおい等を除いて, A区, B区ともC区と同じ自然状態にして1978年4月3日~同年5月31日まで効果判定のための試験 (第2期試験) を行った。
1) 第1期試験の歩留りはA区28.7, B区7.7%, C区22.3%であった。さらに第2期試験では, それぞれ90.7%, 100%, 61.2%であった。
2) 各試験区の平均重量は, 開始時に約3.1gであったが, 第1期試験終了時にA区11.7g, B区7.8g, C区4.5gで, 第2期試験終了時はそれぞれ18.3g, 11.6g, 8.8gとやはりA区がよかった。
3) へい死の動行は, A区は第1期試験開始直後に多く, C区は試験期間中だらだらと続き, B区はA区とC区の中間的な感じであるが, おおいを取ってからは死亡鼈がなかった。
4) 摂餌量は水温によって左右されると思われ, A区では第1期試験中でも摂餌率がよかったが, B区, C区では, へい死が多いせいもあるが, 水温が下ると摂餌率が落ちた。
5) 以上の結果から, 総合的にみてA区が1番よく, B区が1番悪かった。したがって充分な加温は稚鼈の越冬に有利であるが, おおいだけの保温では返って悪いことがわかる。
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