これまで、販売
価格と売上との問には消費者の価格
の知覚が介在することが認識されてきたが、
価格
の知覚と購買数量決定との問の直接的な関係については分析されてこなかった。本研究の目的は、この
価格
の知覚と購買数量決定との関係について実験を行ない分析することである。また、値引きシグナル、および代替ブランドの存在が購買数量決定に及ぼす影響についても分析している。
その実験結果より次のことが明らかにされた。第一に、値引きが行われないブランドに対する消費者の
価格
の知覚は、そのブランドの販売
価格と消費者の期待価格
の差よりも、代替ブランドの
価格
の影響を受けて生じる。第二に、値引きが適度な頻度 (消費者が多すぎるとも少なすぎるとも感じない程度) で定期的に行われるブランドでは、購買数量決定は家にある買い置き量の状態よりも
価格
の知覚の影響をより大きく受ける。第三に、値引きが適度な頻度で定期的に行われるブランドでは、購買数量に対する値引きシグナルの効果は消費者が買物環境に慣れていないときに大きい。この効果は、消費者が買物環境に慣れてくると小さくなり、代わって
価格
の知覚の効果が大きくなる。第四に、代替ブランドの値引き
価格
が魅力的であればブランド・スイッチが行われる傾向があるが、ブランド・スイッチしたときの購買数量は、計画通りの買物をした場合の購買数量ほど多くはない。第五に、複数の値引き幅が設定される値引きパターンも一定である値引きパターンも戦略期間中の値引き幅の平均が同じ水準にあるときは、代替ブランドの購買数量決定に及ぼす影響に違いはないが、当該ブランドに対しては違いがある。
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