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クエリ検索: "南東北"
2,538件中 1-20の結果を表示しています
  • 第3回南東北臨床神経生理セミナーを開催して
    宇川 義一
    臨床神経生理学
    2013年 41 巻 6 号 516-518
    発行日: 2013/12/01
    公開日: 2015/02/26
    ジャーナル フリー
  • *村上 昌雄
    日本臨床薬理学会学術総会抄録集
    2021年 42 巻 42_3-S53-3
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
    会議録・要旨集 フリー

    陽子線治療は、水素の原子核(陽子)を光速近くまで加速させた陽子線を、体外から患部に照射する放射線治療の一つです。陽子線にはブラッグピークと呼ばれる物理学的な特徴があり、加速エネルギーに応じて体内のある一定の深さでピークを形成したのち停止します。ビーム軸方向でブラッグピークを超えた領域への被曝は皆無であり、皮膚面からブラッグピークが立ち上がるまでの領域においても、腫瘍線量より低い線量に抑えることができます。これは従来のエックス線,ガンマ線,電子線にはない物理学的特徴です。また、陽子線はX線(低LET放射線)より単位長さあたりに与える平均エネルギーが高く(中LET放射線)、相対的生物学的効果比(RBE)は1.1と見積もられており、いわゆる放射線抵抗性腫瘍にも効果が期待できます。 これら陽子線の持つ物理学あるいは生物学的特徴を利用することで、固形癌に対して周囲の正常組織への障害を極力抑えた治療ができます。現在、我が国では小児腫瘍、口腔・咽頭の扁平上皮癌を除く頭頸部癌、前立腺癌、骨軟部腫瘍に対しては保険診療で、その他の疾患(脳、肺、口腔・咽頭の扁平上皮癌、縦隔、食道、肝胆膵、腎膀胱腫瘍、肺・肝・リンパ節オリゴ転移など)は先進医療で陽子線治療が行われています。

    南東北
    がん陽子線治療センターは2008年10月に開設され、13年近く経過した2021年8月時点で6082名に治療しました。内訳は頭頸部癌25%、前立腺癌15%、肺癌15%、肝胆管癌12%、食道癌10%、膵癌6%、骨軟部腫瘍3%などであり、最近は前立腺癌、骨軟部腫瘍、膵癌が増加しています。福島県民が37%で最も多いですが、多くは県外からの患者さんであり、日本全域、海外からも来院されています。 当センターの目標は、I-II期の限局癌に対しては切らずに治す癌治療を、また、切れないIII期局所進行癌や術後・放射線治療後の再発癌に対しても完治を目指した癌治療を提供することです。そのため腹部・骨盤領域の消化管に隣接した癌に対しては、事前に外科でスペーサー留置術を行った後に安全確実な陽子線治療を行っています。また頭頸部や膀胱癌などの局所進行がんに対しては、動注療法を併用した陽子線治療を行うことで根治性を高めています。早期癌から進行癌、再発癌まで適応を広く取り、世界に発信できる陽子線治療を行おうと考えています。

  • 鈴木 雄太郎, 真野 明
    水工学論文集
    2003年 47 巻 271-276
    発行日: 2003/02/10
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    This study is the foundation to predict a slope failure generation. The prediction of a slope failure needs the subsurface flow simulation. The purpose of this study is to propose a simplified two-dimensional infiltration model of landslide area, considering the unsaturated hydraulic conductivity and the slope of the impermeable layer, by which we can analyze the subsurface flow in the direction of the slope and the normal direction to the slope at the same time. To verify the proposed model, it is applied to the slope failure that actually occurred in Fukushima in August, 1998. The result is that the proposed model can almost accurately predict the time of slope failure generation, and this implies that the model has prospects of the prediction of a slope failure.
  • 真野 明, 鈴木 雄太郎, 市花 圭一朗
    水工学論文集
    2005年 49 巻 49-54
    発行日: 2005/02/01
    公開日: 2011/06/27
    ジャーナル フリー
    When heavy rains fall, the landslides frequently occur in valley heads. These reasons are that underground water concentrates easily and piping occurs because of groundwater discharge. This study is the basis to predict a landslide generation in valley heads. The prediction of a landslide in valley heads needs the 3D subsurface flow simulation. The purpose of this study is, first, to analyze subsurface flow in 3D considering land form, soil layers and pipe flow, and second, to evaluate the landslide potential in valley heads. We targeted the landslide that actually occurred in Fukushima in August, 1998. The result is that our model can almost accurately predict the time of landslide and piping generation, and there is a possibility that as the history of heavy rain continues, piping grows and landslide potential increases in valley heads.
  • 南東北地方への適用
    古藤 浩
    都市計画論文集
    1999年 34 巻 745-750
    発行日: 1999/10/25
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
    In this paper, a new mathematical population model to explain a decreasing tendency is constructed. Using this model, we analyze population changing tendencies of self-governing bodies in south part of Tohoku region. The tendency of population decreasing is analyzed into two properties. One is common in the whole region and the other is individual in each self-governing body. By mean of this model, we well were able to explain the population, especially in self-governing bodies which population are decreasing.
  • *高井 良尋, 廣瀬 勝己, 佐藤 まり子, 加藤 貴弘
    日本臨床薬理学会学術総会抄録集
    2021年 42 巻 42_3-S53-2
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
    会議録・要旨集 フリー

    ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)とは、従来の放射線治療とは全く異なる機序を利用したユニークな放射線治療で、ホウ素と熱中性子との核反応で生成するα粒子とリチウム核を利用した治療法である。この二つの粒子の飛程が極めて短いため腫瘍細胞一個だけに作用する重粒子線治療であり、副作用の少ない治療法である。総合

    南東北
    病院では、経産省平成23年度(2011)第3次補正予算・東日本災害復興関連事業である福島県「国際的先端医療機器開発事業費補助金」より建設資金の一部を受け、BNCT用加速器システムを導入、
    南東北
    BNCT研究センターを設立した。2016年7月より再発/局所進行頭頸部癌に対し第2相臨床試験(企業治験)を開始し、2018年2月に21例終了した。その結果をもって2019年10月に薬事申請し、ホウ素薬剤(ステボロニン)、加速器BNCTシステム(NeuCure)及びBNCT線量計算プログラム(NeuCureドーズエンジン)が2020年3月に薬事承認が得られた。さらに、6月1日には保険収載され実臨床が開始された。導入された加速器BNCTシステムはサイクロトロン室、照射室、照射準備室、血中ホウ素濃度の測定のための検査室で構成されている。治療室は2室あり、別フロアには事前に治療体位の決定や患者固定具を作成するためのシミュレーション室や治療計画用CT室を設置、また、ホウ素薬剤を点滴投与するための待機室も5室設けるなど、将来的により多くの患者に本治療を提供することを見据えた構造となっているのが当施設の特色である。2020年6月1日「切除不能な局所進行または局所再発の頭頚部癌」に対する加速器BNCTとして保険収載されたが、治療費は技術料238万5000円、薬剤料44万4000円/パック、薬剤(ステボロニン)は体重18kg毎に1パックで通常3-5パックを使用するので114~223万円、合計350~460万円程度である。高額療養費制度が適用され体重60kgで年収500万円の方の場合は約12万円の支払いとなる。2020年6月より開始された保険診療で2021年6月末までに74例の手術不能・再発頭頚部癌症例に対してBNCTを行った。男女比55:19、平均年齢70.3歳、照射された原発部位は中下咽頭(17例)、口腔癌(12例)が多く、リンパ節転移が22例、組織型は66例が扁平上皮癌であった。照射後3カ月の腫瘍評価が終了した55例での奏効率(RECIST v1.1)は71% (CR26例(47%)、PR13例(24%))と良好であった。

  • 瀧内 洋
    総合観光研究
    2006年 05 巻 29-40
    発行日: 2006年
    公開日: 2021/07/26
    ジャーナル オープンアクセス
    This article aims to approach to a trip of ”Oku no Hosomichi” from a position of tourism studies. Why and how Matsuo Basho could travel to South Toboku and in a way along the Sea of Japan at the beginning of Edo era when even major roads were not maintained completely. Then, I inspect present situation of the sightseeing spots where Basho visited and compare them with current tour pamphlets of major travel agencies to examine useful suggestion for tourism promotion of South Tohoku and area along the Sea of Japan.
  • *松田 博史
    日本臨床薬理学会学術総会抄録集
    2021年 42 巻 42_3-S53-1
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
    会議録・要旨集 フリー

    南東北
    創薬・サイクロトロン研究センターはPET検査の新しい可能性を切り拓く目的で2019年6月に開院した。医用サイクロトロン(CYPRIS HM-20)、ホットセル7基、PET薬剤合成装置3台(MPS-200, Hybrid Multipurpose Synthesizer, FASTLab)、無菌アイソレータ、自動品質管理装置(Q-300)、半導体PET/CT(United Imaging Healthcare, ClariTom uMI780)、動物用PET/MRI(MR solution, FlexiScan MRS-3012FL)を有している。昨年8月からはGMP下で薬剤合成の運用が可能となった。

     本センターは診断・治療に直結する新しいPET薬剤の開発と基礎および臨床研究を、先行している

    南東北
    医療クリニックPETセンターと連携して進めている。
    南東北
    病院で臨床使用が承認された薬剤は以下のごとくである。 18F-FDG, 11C-methionine, 11C-choline, 11C-PiB, 18F-FBPA, 11C-flumazenil, 11C-raclopride, 11C-4DST, 11C-preladenant, 18F-NaF, 18F-FRP-170, 18F-FMISO, 15O-Oガス,18F-NAV4694, 18F-MK6240

     半導体PET/CTは112リングの検出器を有し、体軸方向のFOVは300mmと長く、高感度(16cps/kBq)かつ高解像度(2.9mm FWHM)で撮像できる。また、外部装置を用いることなく頭部の動きや呼吸をモニターすることにより、アーチファクトの低減が可能である。従来機種よりも小病変の検出が短時間で可能である。

     本センターではPETを中心にMRIやCTなどと統合した新たな画像解析を進めている。アミロイドPETの読影は陽性か陰性かの視覚判定が基本であるが迷う例も少なからずみられ定量評価が診断補助となる。この定量評価にはセンチロイドスケールが世界標準となりつつあり、PETとMRIを用いて算出されている。ただし、PETと同時期のMRIが撮像されていない場合には、MRIの代わりにPET/CTのCTを用いても算出が可能であることがわかり、PET/CTの新たな臨床応用を示すことができた。

  • 吉田 翔一
    理学療法学Supplement
    2016年 2015 巻 P-NV-21-3
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/28
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】近年長下肢装具(以下KAFO)を使用した早期からの歩行練習が推奨されており,報告もみられてきている。しかし短下肢装具(AFO)作成者との比較検討は少なく,KAFOの作成基準も明確ではない。そこでKAFOとAFOの対象者の特性を明らかにするとともに,KAFOとAFOそれぞれの歩行自立に関わる因子を後方視的に比較検討した。【方法】平成24年7月から平成27年7月まで当病院に入院していた脳卒中患者の中でAFOを作成した48名,年齢65.8±12.4歳とKAFOを作成した32名,年齢69±14.6歳を対象とした。調査項目は年齢,退院時のSIAS体幹機能項目の合計点,発症時のBrunnstrom recovery stage(以下BRS),退院時BRS,FIM認知項目の点数とした。尚,FIMの移動項目において6点以上を歩行自立と定義した。統計学的解析にはR2.8.1を使用し,KAFOとAFOの各項目においてMann-WhitneyのU検定を実施し,KAFOとAFO間での比較検討した。その後,多重共線性を避けるため相関分析を実施した。従属変数をKAFO使用群とAFO使用群それぞれの歩行自立の可否,独立変数を各調査項目としロジスティック回帰分析を実施した。有意水準は5%未満とした。【結果】分析対象者は年齢64.9±17.1歳,KAFO自立群13名非自立群19名,AFO自立群28名非自立群20名であった。Mann-WhitneyのU検定においてKAFOとAFOの2群間比較において退院時BRS(P<0.05)に有意な差が認められた。KAFOでの歩行自立群・非自立群の2群間比較においてはSIAS体幹機能(オッズ比0.03,信頼区間0.001から0.89)とFIM認知項目(オッズ比0.57,信頼区間0.34から0.98)が抽出された。モデル全体の判別的中率は97%であった。AFOではSIAS体幹機能(オッズ比0.26,信頼区間0.11から0.58)FIM認知項目(オッズ比0.84,信頼区間0.73から0.96)が抽出された。モデル全体の判別的中率は85%であった。【結論】KAFOとAFOの2群間比較にて退院時BRSに差がみられたのは,KAFO作成対象者は重度の片麻痺患者が多いためと考えられる。また,KAFOとAFOの歩行自立群・非自立群の2群間比較にて体幹機能・認知機能に有意な差が見られた。先行研究では平野らは歩行自立には体幹機能や認知機能が歩行の可否に大きく影響していると述べており,今回の下肢装具使用者に限局した研究においても,先行研究の結果と同様に歩行自立には麻痺の重症度より認知・体幹機能が大きく関与していた。これらのことは重度の片麻痺者であってもKAFOを使用する事により,高い認知・体幹機能があれば,歩行が自立に至る可能性があると考えられる。そのことにより,運動麻痺の改善のみでなく,体幹や認知機能へのアプローチの重要性が示唆された。
  • 武田 彩, 三浦 理恵, 高田 和秀
    理学療法学Supplement
    2015年 2014 巻 P3-B-1119
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/30
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】進行がん患者のリハビリテーションにおいては,病態把握と進行予測のもと,迅速な退院支援が求められる。なかでも骨転移を有するがん患者では,骨関連事象に対するマネジメントが必要となり,退院支援においては迅速さに加えより慎重な判断や準備が必要である。当院では骨転移リハビリカンファレンス(以下カンファレンス)を開催し,骨転移を有するがん患者のリスク管理と目標設定について,多職種チームによる検討を行っている。今回,カンファレンスに紹介されたがん患者の転帰と特徴を明らかにするために検討を行った。【方法】対象は,当院入院患者のうち,2013年10月以降にカンファレンスに紹介があり,理学療法を施行した後,2014年10月末までに退院したがん患者35名とした。調査項目は,基本属性,転帰,カンファレンス紹介時及び退院時のPerformance Status(以下PS)と日常生活動作(以下ADL)の指標としてFunctional Independence Measure(以下FIM),骨転移部位(脊椎/骨盤骨/長管骨),疼痛/対麻痺/放射線治療/手術の有無,カンファレンス後の入院日数(以下入院日数)とし,カルテ及びカンファレンス記録から後方視的に調査し,対象を①自宅退院した患者(以下自宅群)と転院または死亡した患者(以下非自宅群)の2群に分類し,比較検討を行った。さらに,②非自宅群のうち死亡した患者を除外し転院した患者を転院群とし,自宅群と転院群における退院時PS,退院時FIM,入院日数の差について比較検討した。有意水準は5%未満とし,統計ソフトにはR-2.8.1を使用した。【結果】対象者の疾患は肺がん,前立腺がんがそれぞれ7名,大腸がん6名,腎がん3名,食道がん,乳がんがそれぞれ2名,その他のがんが8名であった。転帰は自宅退院18名,転院11名,死亡6名であった。自宅群(n=18)は,年齢70(66-74)歳,男性11名/女性7名,紹介時PS0/1/2/3/4:0名/1名/6名/7名/4名,退院時PS0/1/2/3/4:0名/2名/6名/10名/0名,紹介時FIM102(87-115)点,退院時FIM108(91-119),入院日数24(16-35)日であった。非自宅群(n=17)は,年齢75(64-80)歳,男性8名/女性9名,紹介時PS0/1/2/3/4:0名/0名/0名/6名/11名,紹介時FIM54(50-58)点,入院日数29(19-40)日であった。転院群(n=11)は,年齢75(66-79)歳,男性4名/女性7名,退院時PS0/1/2/3/4:0名/0名/0名/6名/5名,退院時FIM53(50-60)点,入院日数33(25-55)日であった。①自宅群は非自宅群に比べ,紹介時PSが優位に小さく(p<0.05),紹介時FIMが優位に高値であった(p<0.05)。年齢,入院日数については統計学的に有意な差はみられなかった。性別,脊椎/骨盤骨/長管骨それぞれの部位毎の転移の有無,疼痛/対麻痺/放射線治療/手術それぞれの有無との有意な関連はみられなかった。②自宅群は転院群に比べ,退院時PSが優位に小さく(p<0.05),退院時FIMが優位に高値であった(p<0.05)。入院日数については2群間に有意な差はみられなかった。【考察】カンファレンスに紹介された患者の約半数が自宅退院しており,転院または死亡した患者に比べPSが良好であり,ADLレベルが高かった。退院時のPSが0,1,2の患者は自宅退院,4の患者は転院しており,3の患者の転帰は自宅退院と転院に分かれていた。紹介時にPS3である患者が自宅退院を実現するためには,治療効果の予測やADL改善可能性,病態進行の予測のもと,入院を継続しPSの改善を目指すか,より早期にPS以外の課題分析と解決に取り組みPSを維持した状態での自宅退院を目指すかの判断が必要になると考えられる。また,紹介時にPS4である患者においては,PSを改善させること,または自宅退院を目指す強い動機づけと充実した支援体制が必要であると思われる。退院支援の期間については放射線治療や化学療法等の治療期間にも影響されるため,治療効果への期待と治療期間中のPS悪化リスクを天秤にかけ,場合によっては治療方針変更を選択する必要もある。これらを総合的に判断し迅速かつ安全に自宅退院を実現するためには,多職種連携が不可欠であり,カンファレンスは非常に重要な役割を果たしていると考える。患者が療養の場所を選択できるように早期から自宅退院の可能性や方法を探り,同時に,選択された療養場所に関わらず高いQOLを獲得できるよう,骨転移を有するがん患者の理学療法及びカンファレンスの質を高めていくことが課題である。【理学療法学研究としての意義】カンファレンスに紹介されたがん患者の特徴が明らかとなり,今後の骨転移患者のリハビリテーションにおいて,より効率的な理学療法を提供する為の知見となった。
  • 照井 和史
    理学療法学Supplement
    2015年 2014 巻 P3-A-1107
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/30
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】回復期リハビリテーション病棟(以下回復期リハ病棟)における糖尿病合併脳血管疾患患者の血糖コントロールに関し,入院経過中,有意に血糖値が改善されるが,日常生活活動(以下ADL)の改善による影響はないとの報告がある。今回我々は,回復期リハ病棟入院中の糖尿病合併脳血管疾患患者の,獲得移動様式の違いが,入院中の血糖コントロールに影響を与えるか,Functional Independence Measure運動項目(以下mFIM)利得との関係も踏まえ,後方視的に検討した。【方法】2013年7月から2014年10月までに当院回復期リハ病棟を入退院した脳血管疾患患者166例のうち,糖尿病合併例35例。その中で入院および退院日に近い時期にヘモグロビンA1c(以下HbA1c)を測定していた32例を対象とした。平均年齢は72.5±10.8歳,男性24例(70.6±10.9歳),女性8例(78.1±9.0歳)。入院時HbA1c(7.47±1.45%),退院時HbA1c(6.63±1.02%),獲得移動様式を歩行群(23例),車椅子群(9例)の2群に分け,全体と群ごとで入退院時のHbA1cを対応のあるT検定で,獲得移動様式の群間でHbA1c変化量を対応のないT検定,mFIM利得(22.1±16.9点)とHbA1c変化量(-0.84±1.67%)をSpearmanの順位相関係数にて検定を行った。なお有意水準はいずれも5%未満とした。【結果】HbA1cは入退院時(p<0.01),獲得移動様式の歩行群(p<0.05)で改善が認められた。獲得移動様式の違いによるHbA1c変化量には差がなかった。mFIM利得とHbA1c変化量には相関はなかった。【考察】糖尿病治療の三本柱の一つである運動療法は,主に有酸素運動とレジスタンストレーニングで構成されている。しかし,糖尿病合併脳血管疾患患者のリハビリテーションは身体機能の回復とADLの向上を優先的なアウトカム指標とし,血糖コントロールのための運動療法は十分ではなかったことが予想される。今回,先行研究と同様に,入院中,有意にHbA1cの低下が認められたが,やはりADLの向上と血糖コントロールには関係性が認められなかった。また,獲得移動様式別でも歩行群では有意なHbA1cの低下が認められたが,車椅子群と比較してHbA1c変化量には差が認められなかった。この結果から,糖尿病合併脳血管疾患患者は獲得移動様式に関わらず,入院中の活動量が少ないことが示唆される。今後は合併症の糖尿病にも目を向け,有酸素運動やレジスタンストレーニングを通常のリハビリテーションの他に積極的に取り入れていく必要があると考えられ,活動量計等を使用し,活動量や歩行量と血糖コントロールについても関係性を確かめていきたいと考えている。【理学療法学研究としての意義】糖尿病は脳血管疾患発症のリスクファクターであり,脳血管疾患既往のハイリスク群では,HbA1cを指標とした血糖コントロールが比較的良好な群で脳梗塞再発率が低いことも明らかにされている。本研究は,脳血管疾患に合併した糖尿病に対するリハビリテーションの効果を示すための基礎的研究として意義があると考えられる。
  • 添田 健仁
    理学療法学Supplement
    2015年 2014 巻 P1-A-0247
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/30
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】我々は先行研究において上肢懸垂用肩装具Omo Neurexa(以下ON)を脳卒中後の重度上肢片麻痺例に使用することで,前傾姿勢を軽減し歩行時の底屈制動トルクに変化が及ぶこと,さらに固定することにより推進力の向上が得られることを明らかにした。重度上肢片麻痺例では正常歩行より遅れた麻痺側上肢運動が出現し,麻痺側遊脚初期から遊脚中期に体幹や下肢に衝突する現象が推進力の妨げとなっていると推察した。今回は一症例に対しArm Sling(以下AS)着用時とON着用時およびON着用且つ上肢体側固定時(以下固定時)の3条件で,麻痺側上肢が衝突する麻痺側下肢遊脚相中期の足関節背屈角度と下肢振り出しの加速度(以下振り出し加速度)の違いをGait Judge System(以下GJS)を用いて調査したので報告する。【方法】対象は40代男性。右上下肢の脱力(上下肢手指共にBr,StageV)と呂律不全により発症。左放線冠のアテローム血栓性脳梗塞と診断される。第3病日に麻痺増悪(Br,Stage上肢I,下肢III,手指I),左基底核,内包後脚へ梗塞巣が拡大した。現在,歩行はGait Solution Designとロフストランド杖を使用し自立している(Br,Stage上肢I,下肢IV,手指II)。歩行条件はAS着用時とON着用時および固定時の3条件とした。固定時はON着用且つ麻痺手を下衣のポケットに入れ,上肢のふらつきを抑制した。10m歩行を快適速度で各歩行条件2回実施し,歩行速度の早いものを採用した。測定にはGJSを用いた。GJSより得られたデータから10m歩行中の9歩行周期波形より,麻痺側下肢遊脚期中期の足関節背屈角度および下肢振り出しの加速度を抽出した。統計処理は,足関節背屈角度は反復測定分散分析,振り出し加速度はFriedman検定を実施し,効果が認めた場合,多重比較法(Shaffer法,Wilcoxon検定)を併用することとした。有意水準は5%未満とした。統計ソフトはR ver. 2.8.1.を使用した。【結果】足関節背屈角度はAS着用時0.94±0.66度,ON着用時1.26±0.52度,固定時1.07±0.78度で有意差を認めなかった(p=0.57),振り出し加速度はAS着用時-0.19±0.42m/s2,ON着用時-0.17±0.33m/s2,固定時0.48±0.38m/s2で有意差を認め(p=0.016),多重比較の結果,AS着用時と固定時(p=0.039),ON着用時と固定時(p=0.039)で有意差を認めた。【考察】今回はAS着用時とON着用時および固定時における麻痺側下肢遊脚相中期の足関節背屈角度と振り出し加速度についてGJSを用いて調査した。足関節背屈角度は3条件で有意差を認めなかった。また,振り出し加速度は固定時にAS着用時・ON着用時より有意に増加した。これらは先行研究により推察された,麻痺側上肢の遊脚初期から遊脚中期に振り戻されてきた麻痺側上肢が,体幹・下肢に衝突する現象が足部の運動は損なわれないにも関わらず,推進力の妨げになっていることを表していると考えられる。Perryらは,歩行中の上肢の振りの果たす役割は,骨盤の回旋の反作用として働き,歩行中の身体の回旋を最小限にするとしている。つまり,下肢への荷重開始時に上肢を後方へ保持することで,二次的な安定性を得るための手段であると述べられている。さらにOrtegaは,歩行中の上肢の作用は,水平面だけでなく,前額面の安定性に寄与すると述べている。これらのことより,脳卒中後の重度上肢片麻痺例の歩行は,通常歩行に比べ,遅れた上肢の動きにより身体の回旋抑制や安定性の低下,前額面での安定性低下に加え,振り戻された上肢が体幹・下肢に衝突し,推進力を妨げられていると考えられる。よって,脳卒中後の重度上肢片麻痺例の歩行では上肢を懸垂したうえで固定も併用することがよいと思われる。【理学療法学研究としての意義】脳卒中後の重度上肢片麻痺例への歩行介入として有用であると思われる。
  • 折内 英則, 鈴木 大輔, 木村 健太, 佐藤 純也, 室井 宏育
    理学療法学Supplement
    2020年 47S1 巻 O-5-7
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/31
    会議録・要旨集 フリー
  • 折内 英則, 室井 宏育, 佐藤 純也, 影山 喜也
    理学療法学Supplement
    2020年 47S1 巻 P-24
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/31
    会議録・要旨集 フリー
  • 折内 英則, 室井 宏育, 佐藤 純也
    理学療法学Supplement
    2019年 46S1 巻 P-6-5
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/20
    会議録・要旨集 フリー

    【はじめに】

    本症例は、脛骨高原骨折に対する観血的治療後、食思不振、活動性低下、長期化した侵襲により低栄養を認めADL改善に難渋した重度知的障害患者である。栄養状態を考慮しリハビリテーションを継続した結果、運動能力拡大し自宅退院に至った経過を以下に報告する。

    【症例】年齢・性別:50歳代後半・男性。既往歴:重度知的障害、統合失調症。現病歴:転倒にて右脛骨高原骨折。右膝関節内骨折観血的手術(創外固定)施行後、リハビリテーション開始。

    【評価】身長:150㎝ 体重:39.8㎏ BMI:17.7 IBW(kg):49.5 MNA-SF:6/14(低栄養) TEE:1412kcal BEE:981kcal 必要蛋白質量:60.0g 血液:Hb:11.1、TP:6.7、Alb:3.3、CRP:7.96。ADL(FIM):29/126 入院前ADL:自立。

    【経過】(第24病日)常食10割摂取。推定摂取エネルギー量(以下、摂取量)・1413kcal。(第49病日)患部疼痛訴え強く入院生活にストレス訴え。リハ参加不良。食思不振(摂取量500kcal~1000kcal)。(第50病日)創外固定抜釘。肺炎発症。(第84病日)右脛骨骨髄炎。右骨掻爬術施行。患側下肢非荷重管理へ。食思不振著変なし。体重34㎏。ADL(FIM)52/124。(第170病日)患側下肢全荷重開始。(第182病日)地域多職種と自宅復帰準備。本人とリハビリゴールを共有。リハ参加意欲拡大。ADL(FIM)73/124。食思改善(摂取量1200~1600kcal)。積極的レジスタンストレーニングおよびADL動作練習実施。(第217病日)自宅退院。体重39.0㎏、ADL(FIM)92/124。

    【考察】本症例の特徴は、重度知的障害の影響から病態や自身の治療経過について受容と理解が不良であったことである。また、肺炎や抜釘、掻爬など侵襲刺激も加わり、入院中の心身面の強いストレスが長期化し、低栄養とサルコペニアが亢進していたこともリハビリを進めていく上で考慮すべき点であった。意欲低下に伴う食思不振はリハビリを進めていく上で解決すべき課題であったが、自宅復帰に向けた環境整備を整えリハビリゴールを明確にし、それを本人・家族と共有。目標が明確になったことで食思も改善した。また、全身状態の改善に伴いエネルギー量に応じたリハビリテーションも実践できた。こうした栄養管理を考慮したリハビリテーションが、運動効果に繋がり、結果として運動能力拡大・自宅退院に至ったと思われる。

    【倫理的配慮,説明と同意】本症例発表に伴い個人情報を匿名化し趣旨・方法について説明し同意を得ている

  • ―評価者と被評価者の意識の比較―
    本田 知久, 高野 稔, 佐藤 聡見, 三瓶 一雄, 舟見 敬成
    理学療法学Supplement
    2017年 2016 巻 P-ED-12-3
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/24
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    【はじめに,目的】

    近年,療法士数の急増に伴いその質が問われ,療法士の専門性に加え人間性も重視されている。当院では平成27年より段階を踏んだ長期的人材育成のためのキャリアパス運用を開始した。当院においてキャリアパスの運用とは,専門性スキルの「部署別キャリアパスシート」と全部署を対象とした医療人・社会人スキルとして「共通キャリアパスシート」(社会人基礎力を参考に作成),「目標管理シート」を用い,年2回の自己評価と面談によるフィードバックを実施することとした。本研究は,キャリアパス運用時の評価者と被評価者の意識を比較し,今後の課題を明らかにすることを目的とした。

    【方法】

    対象は当院で面談を実施した理学療法士44名と作業療法士20名の合計64名で評価者11名と被評価者53名に群を分けた。留置法による無記名自記式質問紙調査を実施。調査時期は平成28年5月。調査内容は面談時の経験年数と意識項目8項目(満足度,ストレス,意欲向上,行動変化,仕事への良い影響,継続,伝達2項目)を7件法で回答し,その他自由記載とした。なお伝達に関する2つの設問は,評価者は「職場期待を伝えたか」「被評価者の思いが分かったか」,被評価者は「職場期待がわかったか」「自分の思いを伝えたか」とした。アンケート回収後,意識項目の肯定的回答割合を求め,2群間の比較を行った。統計学的解析はR2.8.1を使用し,経験年数はマン・ホイットニー検定,意識調査項目はフィッシャーの正確確率検定を行い,有意水準は5%とした。

    【結果】

    結果を評価者,被評価者の順に示す。回収率(100%,90.6%)。経験年数の中央値(四分位範囲)18(16-21.5),3(2-9)年目で有意差あり(p<0.01)。肯定的回答割合は「満足度」(72.7%,72.9%)。「ストレス」(27.3%,52.1%)。「意欲向上」(54.5%,50%)。「行動変化」(72.7%,50%)。「仕事」(72.7%,47.9%)。「継続」(90.9%,60.4%)。「職場期待」(81.8%,66.7%)。「被評価者の思い」(90.9%,85.4%)。意識項目に有意な差はなかった。自由記載では「振り返りになる」「負担になる」などがあげられた。

    【結論】

    意識項目はどれも有意な差はなかったが,ストレス以外は概ね評価者の肯定的回答割合が高かった。評価者は複数の被評価者の評価や面談などやるべきことが多くストレスは掛かるが,継続意思は高く組織的な人材育成の必要性を感じている。一方,被評価者は自己の振り返りにはなるが,具体的な行動や仕事に活かすことが少ないと考えられる。河合塾によると人材育成のため社会人基礎力の向上には期待される役割を理解することが重要と言われている。よって本研究でも評価者が思うよりも期待する役割が伝わっていないことが,被評価者は行動や仕事に活かしきれていない一因と推察される。今後はストレス軽減のため仕組みの簡素化や,理解に合わせた期待の伝え方を検討していきたい。

  • 蔵品 利江, 千葉 一平, 室井 宏育, 金子 知香子
    理学療法学Supplement
    2017年 2016 巻 O-NV-11-3
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/24
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    【はじめに,目的】

    視神経脊髄炎(Neuromyelitis optica:NMO)は視神経炎と3椎体以上にわたる脊髄炎を特徴とし,抗アクアポリン4抗体陽性で診断が確定する。NMOは男女比1:9と女性に多く,好発年齢30代で妊娠・出産が可能な年代に一致する。今回,妊娠中に発症したNMO症例を担当したので報告する。

    【方法】

    症例は20歳代女性。経妊3回,出産2回。妊娠18週。X-8日帯状疱疹の診断。X-4日頭痛や発熱,歩行障害。X-3日髄膜炎疑いにてI病院入院し治療開始したが,左半身麻痺と項部硬直出現し当院搬送。入院時,下肢に重い四肢の運動麻痺や感覚障害,排尿障害認め,Th3以下アロディニア。帯状疱疹の疼痛で上肢も動かせず,下肢の伸張反射頻発。MRIは視床下部にFLAIRで高信号。下部延髄からTh10にかけてT2で高信号。脳脊髄炎としてステロイドパルス療法や免疫グロブリン大量療法開始。X+16日抗アクアポリン4抗体陽性。帯状疱疹罹患しNMOを発症したと確定診断された。

    【結果】

    X+2日理学療法開始。ASIA motor score(以下ASIA):40/100。MMT(右/左):肩屈曲4/2,手指屈曲4/2,下肢1/1。触覚Th3以下脱失。下肢運動覚脱失。EDSS:9.0。motor FIM:15/91。麻痺に加え疼痛も強く体位変換全介助。X+10日両下肢及び体幹の痙縮増強。他動の股屈曲で腹直筋に強い収縮が誘発され,急激な体幹・股伸展と右下肢の突っ張りや引き込みが出現し端座位保持困難。X+21日靴底に滑り止めを貼付し起立練習開始。X+31日右短下肢装具で歩行練習開始。X+34日自己排尿。X+38日左視野狭窄あり視神経炎発症。X+40日頃より手指の使用で誘発される有痛性強直性痙攣出現したが,副作用や胎児への悪影響を懸念しカルバマゼピン(carbamazepine:CBZ)は処方されず,手すりや杖の把持困難。軽いプッシュアップによる殿部横移動で移乗しX+49日車椅子自走やトイレ排泄自立。X+71日妊娠28週,ASIA:75/100。MMT(右/左):肩屈曲4/4,手指屈曲4/4,股屈曲4/4,股伸展3/3,膝伸展4/3,足背屈4/3。触覚Th3以下異常感覚。下肢運動覚軽度鈍麻。EDSS:6.0。motor FIM:80/91。肩や前腕での伝い歩きでセルフケア自立し退院。妊娠37週3日I病院で自然分娩にて出産。

    【結論】

    NMO再発率は,妊娠期に低下し出産後3か月は高まるとされている。本症例は妊娠18週に発症,運動機能は改善したが急性期治療中に視神経炎も発症した。疾患活動性が高く出産後の再発が懸念されること,妊娠中で回復期への転院が不可能なことを考慮し,セルフケアが遂行できる安全な移動手段獲得での出産前退院を目標とした。腹部の痙縮や腹緊を回避しながらのプッシュアップ,腹部を圧迫しない起立・歩行練習方法の選択,CBZ投与なしでの有痛性強直性痙攣対策など症状の変化に応じた様々な配慮が必要であった。

  • 前脈絡叢動脈領域梗塞をとおして
    渡辺 光司, 齋藤 頼亮, 渡部 瑛
    理学療法学Supplement
    2015年 2014 巻 P3-C-1026
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/30
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    【はじめに,目的】内包後脚(以下PL)病変に関しては,まだ標準化された計測法があるとはいえず,個々のPL病変の比較が困難な状態である。今回,我々はFunctional MRIとDiffision tensor tractgraphyを用いてPL内の皮質脊髄路(以下CST)の局在部位を示した既報告をもとに,前脈絡動脈領域梗塞の臨床症状について比較検討したので報告する。【方法】MRI画像のモンロー孔レベルにおいてPL内の病変部位を計測,算出した。計測法は,まずレンズ核の最も内側の点をM点,最も後方の点をP点としてM点からP点の前後径MPの距離を計測した。また,M点から病変前縁Laまでの距離MLaと,M点から病変後縁Lpまでの距離MLpを計測した。そして病変前縁はMLa/MP比を算出してAnterior margin(%)(以下AM%),病変後縁はMLp/MP比を算出してPosterior margin(%)(以下PM%)として局在を示した(小数第3位以下切り捨て)。症例は,回復期病棟退院時の帰結を確認できた前脈絡叢動脈領域梗塞5症例とした。そのうち3症例がラクナ梗塞で,2症例がBranch Atheromatous Disease以下BAD)であった。それぞれ基本属性(年齢,性別)と,臨床症状を後方視的に調査した。臨床症状は,運動麻痺評価Brunnstrom recovery stage(以下BRS),感覚障害の有無,機能的帰結(上肢実用度,歩行到達度)を確認した。【結果】臨床症状として症例1は60歳台,男性,右片麻痺,BRS上肢II-手指II-下肢V,感覚障害なし,廃用手レベル,独歩レベル。症例2は60歳台,男性,右片麻痺,BRS上肢V-手指V-下肢III,感覚障害なし,実用手レベル,短下肢装具(以下AFO)装着T字杖歩行レベル。症例3は70歳台,男性,右片麻痺,BRS上肢V-手指V-下肢V,中等度の感覚障害あり,実用手レベル,T字杖歩行レベル。症例4は40歳台,男性,左片麻痺BRS上肢II-手指II-下肢V,感覚障害なし,廃用手レベル,独歩レベル。症例5は,90歳台,女性,左片麻痺BRS上肢II-手指II-下肢IV,感覚障害なし。廃用手レベル,AFO装着四点杖歩行レベル。病型と臨床症状の特徴から,症例1をラクナ梗塞/上肢麻痺優位型,症例2をラクナ梗塞/下肢麻痺優位型,症例3をラクナ梗塞/感覚障害優位型,症例4をBAD/上肢麻痺優位型,症例5をBAD/上下肢麻痺型とした。病変部位のAM%:PM%は,症例1は48.90%:83.70%,症例2は94.67%:101.33%,症例3は111.06%:133.18%,症例4は36.83%:84.20%,症例5は31.69%:96.42%であった。【考察】Kim YHらはPL内のCSTにおいて,特に上肢成分が通過していた位置は,AM%64.27%:PM%86.72%であったと報告している。症例1 ラクナ梗塞/上肢麻痺優位型では,病変部位は,48.90%:83.70%で既報告の範囲に大きくかかっており,臨床症状的にも上肢麻痺が重度であった。また,その後方へは超えておらず下肢成分の損傷は少ないと考えられたが,実際,下肢麻痺は免れていた。逆に,症例2 ラクナ梗塞/下肢麻痺優位型をみると,94.67%:101.30%と病変部位全体が既報告の範囲より後方に位置していたため,上肢成分より下肢成分の損傷が大きいと考えられたが,臨床症状ともほぼ一致していた。症例4 BAD/上肢麻痺優位型は,病変規模が大きいにも関わらず,下肢運動麻痺をほとんど免れていた。病変部位は36.83%:84.20%で,症例1と同様に既報告の範囲の後方へは超えていなかったのが下肢運動麻痺を免れた要因と考えられる。症例5 BAD/上下肢麻痺型は,31.69%:96.42%で既報告の範囲はもちろん,その後方へも大きく超える病変であったため,上下肢成分共に損傷を免れられないと考えられたが臨床症状に一致した。症例3 ラクナ梗塞/感覚障害優位型をみると111.06%,133.18%と,既報告の範囲や他4症例より大きく後方に位置していた。他4症例は,感覚障害を伴っていないことから,感覚上行路はLP内ではCSTの後方で強く独立して局在していることが伺われた。本研究はニューロイメージング手法を用いた既報告と臨床症状を比較検討するものだったが,一定の整合性が認められた。PL病変に関しても局在部位的な臨床検討が有用と感じられた。【理学療法学研究としての意義】PLはその近傍である視床,被殻が脳出血の頻発領域であるため,我々PTが最も遭遇する病変部位といえる。PLに対して病変部位の計測法や指標が標準化されることによって,リハビリテーションアウトカム設定に活用されることが望まれる。本研究はその足がかりとして意義があると思われる。
  • 佐藤 亮
    理学療法学Supplement
    2015年 2014 巻 P1-B-0242
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/30
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    【はじめに,目的】片麻痺者の理学療法において,装具を利用して歩行練習を行うことは強く勧められており当院においても長下肢装具(以下KAFO)を使用した歩行練習を積極的に実施している。片麻痺者の歩行自立に関わる因子の先行研究は多くみられているが,KAFOを使用した片麻痺者の歩行に着目した研究は少なく,今回はKAFOを作成した片麻痺者の歩行自立に関わる因子を後方視的に検討した。【方法】平成24年7月から平成26年7月まで当病院急性期・回復期病棟に入院していた脳卒中患者の中でKAFOを作成した17名を対象者とした。調査項目は年齢,退院時のSIAS体幹機能項目の合計点,発症時のBrunnstrom recovery stage(以下BRS),退院時BRS,発症からKAFO採型までの日数,FIM認知項目の点数とした。尚,FIMの移動項目において6点以上を歩行自立と定義した。統計学的解析にはR2.8.1を使用し,従属変数を歩行自立の有無,独立変数を各調査項目としロジスティック回帰分析を実施した。有意水準は5%未満とした。【結果】分析対象者は年齢64.9±17.1歳,脳梗塞7名,脳出血10名であった。ロジスティック回帰分析においていずれもP>0.9と有意な回帰は得られなかった。【考察】上杉らによると体幹機能が歩行自立の要因に深く関わっているとされている。本研究ではKAFOを使用した歩行練習を実施したうえで,先行研究同様の結果が得られるか,またKAFOを使用した片麻痺者の自立に関わる因子が何かを検討したものである。本研究においてはどの調査項目においても有意な回帰は得られず,上杉らの報告とは異なる結果となった。KAFOを作成した片麻痺者は重度片麻痺や体幹機能著名な低下などの重度の障害を呈している症例への偏りが大きくなり,自立の有無への影響が少なくなることで先行研究とは異なる結果となったと考えられる。加えて重度片麻痺者の脳卒中症状は多岐にわたることが考えられるため,今回調査項目になかった非麻痺側機能やバランス機能の評価の検討も必要であったと考えられる。さらに,統計学的に被験者数が少なかったことも有意な回帰を示す因子がなかった一つの要因であると考えられ,今後は被験者数を増やした更なる研究精度の向上が必要であると考える。【理学療法学研究としての意義】KAFOを使用した患者では歩行自立に対して今回の調査項目の影響がないことが示唆された。そのため,KAFOを使用した片麻痺者の歩行自立の予後予測は多角的な評価による判断が必要であることが分かった。
  • ─排便管理能力の向上につながった3症例─
    蔵品 利江, 添田 健仁, 室井 宏育
    理学療法学Supplement
    2012年 2011 巻
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/10
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    【はじめに、目的】 医学的管理や基本動作獲得への介入が主体となる急性期病院では、脊髄障害患者の排泄機能障害、ことに薬物での管理がしやすい排便障害においては、自己管理という長期目標を見据えたトレーニングを行いにくく報告も少ない。そこで、急性期病院入院中から排便コントロールに関わり良好な経過を辿った脊髄障害3症例を報告し、その有効性について述べる。【方法】 症例A:20才代女性。海綿状血管腫、Th7以下完全麻痺。American Spinal Injury Association impairment scale(以下AIS):A 起居動作全介助。便意なく刺激性下剤使用し失禁。症例B:70才代女性。多発性硬化症(以下MS)再発、Th6以下不全麻痺。AIS:B 入院前は車椅子と四脚歩行器併用にて日常生活自立していたが、増悪し起居動作半介助。便意なく刺激性下剤使用し失禁。症例C:40才代女性。脊髄動静脈瘻、Th12以下MMT右0左2~3の不全麻痺。AIS:C 8病日、脊髄血腫摘出術施行。起居移乗は半介助、便意なく便もれありオムツ装用。これら3症例に対し、基本動作獲得に向けた理学療法(以下PT)に加え、早期より排便の自己管理向上を目的としたアプローチも実施した。【倫理的配慮、説明と同意】 本発表についてはご本人及びご家族に説明し了承を得ている。【結果】 症例A:2病日PT開始。5病日より車椅子移乗開始したが、MS疑いにてステロイドパルスや血漿交換療法を行うなど積極的介入は困難。15病日頃に数回、便失禁で周囲を汚したことをきっかけに、車椅子移乗や面会を断るなどネガティブな行動が増えたため、心理面に配慮した排便方法を検討。モチベーション向上も期待し、便坐上での坐位保持及び下衣脱着トレーニングを開始。40病日より、医師. 看護師.による排便周期の確認や薬剤調整、排便姿勢での直腸内診を開始。排便予定日は坐薬挿入時間に合わせ、PTが実際の排泄場面でのトレーニングを反復、緩下剤と坐薬併用での2日間隔の自然排便を経験した。55病日、復職を希望し回復期病院転院。症例B:3病日PT開始。8病日、早期の在宅復帰を希望され、医学的管理が最小限となるよう薬剤や排泄方法を検討。看護師が排便周期の確認や坐薬、肛門刺激による誘発を試みながら、PTではポータブルトイレ自立に向けた動作練習。10病日、代償便意で排便し、その後は排便予定日の坐薬挿入時間に合わせてPTが介入。実際の排泄場面でのアプローチを繰り返し、緩下剤と坐薬併用にて2日おきの排便コントロールが確立した。側臥位での坐薬挿入や後方へのプッシュアップ移乗も自立。排便時間も考慮した在宅サービス調整後、24病日で在宅復帰。症例C:3病日PT開始。しっかりとした排便なく10病日が経過し、便を出し切ることを目的に刺激性下剤を内服して翌日に排便。その日を境に刺激性下剤は中止し、排泄に同行できるようPT介入時間も調整。ベッド上起居動作は自立したが移乗に介助を要したため、看護師にも介助方法を指導し協力依頼。1日5回、自己導尿毎のトイレ移乗を反復し、緩下剤のみで1日1~2回の排便コントロールが確立した。48病日、T 字杖歩行にて回復期病院転院。【考察】 排便が意図したタイミングで出来るか否かは、脊髄障害患者の具体的な生活イメージ構築に不可欠な要素である。遅くとも平均3~4週と言われる脊髄ショック期が過ぎれば排便トレーニングは可能となるはずだが、知識不足や管理上の問題から急性期病院においてはQOLの視点をもった排便管理を行いにくいのが実状である。今回の3症例はPTの関わりをきっかけに排便をコントロールするという視点をもち、手段や時間に合わせた他職種との協調的な介入により、早期から排便管理の自立に向けた足がかりを作ることが可能であった。いずれの症例も「便失禁」の時期には、人前での失禁や便臭に対する不安や羞恥心から活動範囲は狭く、医療から解放された社会生活を具体的目標として持つことが出来なかった。しかし、一度でもトイレで排便できると「排便をコントロールした」という達成体験がモチベーションを高め、ベッドから離れての日常生活はもちろん、社会復帰にまで視野を広げた目標を症例自らがイメージするようになった。目標が明確化することで主体性も高まり、残存機能を日常生活に活かそうと自らが工夫するなどの行動変容をも起こすことができた。【理学療法学研究としての意義】 限られた施設でしか排便トレーニングが行われないことにより、排便管理は自立しにくく、脊髄障害患者のコミュニティーの中で模索せざるを得ない症例も多い。今回の報告により急性期病院においても排便管理を視野に入れたアプローチは有効であるという意識付けにつながればと思う。
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