呼吸器感染症7例に対してpanipenem/betamipron (PAPM/BP) 0.5g/0.5gを30分で点滴静注し経時的に血漿中濃度を測定した。Panipenem (PAPM) の最高血漿中濃度 (C
max) は点滴終了直後で, 36.79±3.04μg/ml, 血漿中濃度曲線下面積 (AUC) は57.88±5.30μg・hr/ml, 血漿中濃度半減期 (T
1/2) は0.9時間, betamipron (BP) のC
maxは24.58±2.76μg/ml, AUCは24.11±2.83μg・hr/ml, T
1/2は0.4時間であった。PAPMとBPの体内からの消失挙動は類似していた。
呼吸器感染症18例に本剤を使用した。全体の成績は有効率68.8%であった。気管支炎と肺炎との間に有効率に差はみられなかった。有効率は重症度によって異なった。
起炎菌別に見ると,
Streptococcus Pneumoniae, Branhamella catarrhalis, Haemophilus spp. は100%除菌されたが,
Pseudomonas aeruginosaの除菌率はよくなかった。副作用は4例にみられ, 2例は投与中止した。アレルギーと思われるものが2例みられた。
本剤と関係のある臨床検査値異常は3例にみられた。GOT, GPTの軽度上昇, LDHの軽度上昇とGPTの軽度上昇をみたが投与中止後直ちに正常に復していた。
以上より本剤は呼吸器感染症に有用な薬剤であると思われた。また, PAPMとBP両者の体内挙動は, 臨床効果を発現する上で効果的なものであった。
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