1. 水稲5品種をライシメータで異なる施肥条件下で栽培し, 登熱後期に群落の反射スベクトルを測定した. 測定波長域は460-1,600nmである.
反射率
測定後, 供試区は粗もみ収量, 玄米収量, 風乾わら重, 及び地上部乾物重についてサンブリング調査した. 各波長
反射率
から, 粗もみ収量を推定する重回帰分析を行なった. 自由度調整済重回帰係数 (R
*)を指標にして変数増加法によって有効な波長を探索した. その結果, (1) 580, 620, 840,及び1,260nm
反射率
の線型式で, R<
*2>=0.79 (観測数=20)が得られた. この式による予測値は, 0-8OO g/m
2以上の広い収量水準の範囲で実測値とよく合致し, 品種の違いによる影響を受けにくいと思われた. (2) 580nm (緑)と1,260mn (中赤外)
反射率
は粗もみ収量に対して負の相関を示したが, 620nm (赤)と840nm (近赤外)
反射率
は正の相関を示した. 2. 冷害を被り, もみ摺り歩合が様々に低下した水稲もみの
反射率
を室内・電球光下で本装置によって測定した. もみの充実度合が高くなるに従い, 1,200nm帯の反射が小さくなる様子が見られ, 屋外での測定で粗もみ収量と1,260nm
反射率
とが負の相関を示したことと現象的に一致した. 3. 1トン上の結果から, 中赤外域の1,200nm付近の
反射率
が粗もみ収量の推定に有効であることが示唆された. また, 近赤外域のみならず, 緑, 赤色などの可視域スペクトルも, 収穫期水稲の収量推定上, 重要であることがわかった.
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