熊本県水俣湾に生息するコマルキクメイシ
Plesiastrea versipora から日本初記録のイガイ科穿孔性貝類である
Leiosolenus simplex (Iredale, 1939)(マメイシマテ・和名新称)が採集された。本種は生きたサンゴにのみ穿孔し,殻長 20 mm,殻幅7 mm を超える個体は少ない。殻形は円筒形であり,殻表の沈着物(二次殻)はチョーク状で薄く,後縁から突出しない。
本種がコマルキクメイシに穿孔することは本稿で初めて報告された。コマルキクメイシは1950年以前から水俣湾に生息しているが,本種が穿孔するようになったのは1996年以降である。これらのことから,現在の水俣湾の環境が本種の生息に適していること,この12年間で本種がコマルキクメイシに穿孔できるように適応した可能性が示唆される。
シギノハシガイ属
Lithophaga は二次殻の有無に基づいて2つのグループに区別され,それぞれのグループは異なる系統を持つことが知られている。本稿では二次殻を持つグループをイシマテガイ属
Leiosolenus として記載した。
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