本稿は, オーストラリアの会計制度を会計規制, 財務報告, 監査制度から考察し, その背景と特質を明らかにしようとしたものである.オーストラリアの会計制度はイギリスの会計制度の発展に影響され, その特徴はオーストラリア会計基準審議会による会計基準の認可制度であるといわれている.現在では, 企業活動の国際化にともない,
国際会計基準委員会
や国際会計士連盟のような国際的な会計団体の影響力が強まってきた.オーストラリアでは, イギリス会社法の伝統的な概念である「真実かつ公正な概観」は時代錯誤として扱われてきている.監査制度においては, 従前の監査基準書と監査実施準則は監査基準と監査指針書として, 逐次改訂され1995年10月に再公表されている.オーストラリアは監査基準も1960年代からアメリカの影響を受けるようになり, 現在は, 国際監査基準-国際会計士連盟の国際監査実務委員会の影響を受けている.したがって, 監査に関する基準の基礎を国際会計士連盟が公表した意見書である「国際監査ガイドライン」に求めており, 会計基準と同じ傾向にある.
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