以上みるように,今日,急速に拡大している冷凍食品の市場構造は,
(1) 輸入原材料に強く依存した調理冷凍食品を中心に進出・生産拡大している。
(2) 給食など業務用冷凍食品を拡大しながら,さらに一般家庭用冷凍食品の販売拡大もいちじるしく展開している。
(3) 技術革新による大量加工・大量流通の集積・集中が深まり,少数メーカー(上位10社)で冷凍食品市場の大部分(全販売高の8割)を占める方向が深まっている。
(4) 冷凍食品市場は,大規模加工資本によるブランド商品の拡大,流通の系列化,また包装形態の変化,新製品の開発による実質的値上げ,物的流通「合理化」などによる「価格の下方硬直化」方向を急速に展開している。
(5) さらに,今日の冷凍食品の本質的特徴は,食糧生産における迂廻生産の拡大であり,また,冷凍食品市場は総合商社資本およびその系列資本がその生産部門(冷凍食品製造メーカー,冷凍食品製造機械メーカー),物流部門(低温輸送機器メーカー,冷蔵庫メーカー,冷蔵倉庫業者など)関連産業各部門への集中系列化が強まっている。
(6) 冷凍食品製造資本の主な株主構成をみると銀行などの金融機関によって構成されており,冷凍食品産業全体としては,これら資本による直接的影響が絶えず深化していることである。
(7)冷凍食品の市場拡大は「定価売」を促進し,物価政策・賃金政策にも大きく貢献するなど社会的総資本の要求を満たす可能性が大きいことである。
などを特徴しているといえよう。
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