北海道十勝地方の土壌特性の異なる2地域で, 簡易耕と慣行法で大豆を栽培した場合のタネバエの被害実態を比較し, その原因を探った。タネバエ成虫は黒色火山性土圃場の方が褐色火山性土圃場よりも多く誘殺され, 黒色火山性土圃場では慣行栽培圃場よりも簡易耕圃場で多く, また, 褐色火山性土では慣行栽培圃場で多く誘殺された。タネバエによる大豆の被害は慣行栽培よりも簡易耕栽培で多く発生し, この傾向は黒色火山性土圃場で顕著であった。室内実験では, 一般的にタネバエは水分の多い土壌に多く産卵し, 幼虫生存率も高かった。特性の異なる土壌を比較すると, 褐色火山性土よりも黒色火山性土を選好して産卵した。調査期間の大豆播種期の圃場土壌含水比は50%~80%でタネバエの産卵, 生存に好適な条件にあった。
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