一方向に発達したフラクチャーを含む貯留層を異方
型システム
としてモデル化する手法は, フラクチャー型貯留層工学において最も一般的に用いられている手法の一つである。しかしながら, このような巨視的取扱いの普遍的正当性は, 定量的に検証されているわけではない。本研究は, 水平シンクの生産性予測に際して, 異方
型システムがフラクチャー型システム
と整合性を保持するか否かを検定するものである。
フラクチャーに対し平行もしくは直交して仕上げられた水平シンクに対し, 1000個のフラクチャーシステムを用いた数値実験を実施し, フラクチャー型ならびに異方
型システム
に基づく生産性予測を比較した。異方
型システム
は真の値より高い生産性予測をすることが判明し, 相対誤差は平均して平行仕上げの場合11%, 直交仕上げの場合13%である。フラクチャー
型システムの等価異方型システム
への転換は, 水平シンク近傍の流動に対しては必ずしも適切ではなく, 生産性予測を誤らせる危険性が認められる。
異方
型システム
におけるこのような生産性の過大予測を補正するために, 擬似スキンを導入した。平均して, 0.366および0.258の疑似スキンが, 平行ならびに直交仕上げに対してそれぞれ必要である。この補正手法の汎用化には, 疑似スキン評価のための簡便な手段が必要であることから, 最小限必要な情報(水平シンクの長さ, 全フラクチャーの合計長, ならびにフラクチャー長さの幾何平均値)を用いた一連の相関式を導出した。異方
型システムとフラクチャー型システム
の不整合性は, ここで提唱した体系的処理手順により補正し得るものである。
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