日常生活に関する伝統文化が女性の意識に残る度合いに影響する要因を求めることを目的とした.被験者は女性222名で, 職業と日本文化に関わる趣味によって層別した.
調査は, 日本の伝統文化に対する37の質問に対し, 同意または理解を尋ねた.同意または理解の比率 (肯定率) によって, 質問は4グループに分類された.各グループごとに数量化IIIを用いて各グループの特性を調べ, 次の結果が得られた.
グループIは属性に関係なく意識に残った13問で, 習慣や意見として生活に定着している.グループIIは学生以外 (年齢の高い層を含む) に残った10問で, 和装の着付けや蚊帳の使用経験のような伝えにくい経験であった.グループIIIは伝統文化に関わる趣味によって伝承された7問であった.グループIVは非日常化した縁起や行為の7問であり, 残りにくい内容と思われる.また, 次にクラスター分析を用い, 各文化を肯定する被験者の類似性により各質問を位置づけた.
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