【目的】近年の理学療法士養成校増加と共に,在学生の学習方法に変化がみられるようになった.これに伴い教員への要求も,理学療法知識の提供だけでなく,学習方法指導,勉学への意欲付けも必要とされるようになってきた.今回,学生の
学習行動
を分析すると共に,学習意欲付けの方法を検討した.
【方法】4年制専門学校在学中の平成18年度2年生(41名 有効回答数41),および平成19年度2年生(44名 有効回答数41)を対象にアンケート調査を行った.また,同学年担当教員に対し,学生に感じる努力度をVASにて記録した.学生の
学習行動
は,健康行動理論を改変し,1)過去3ヶ月以上あまり勉強をしていない 2)過去3ヶ月以上あまり勉強をしていないが,今後1ヶ月以内には始めるつもりである 3)試験前は勉強したが,現在はあまり勉強をしていない 4)試験前より始め,今でも勉強を続けている 5)本学年に入り,ずっと勉強している の5段階とし,また前期試験前後の努力度を,VASを用いて表し,前期試験成績と関係を比較した.統計はSPSS Ver14を用いた.また
学習行動
5)の者(7名)を対象に面談を行い,面談内容をテキスト化し,KH Coder Ver2beta10を用い計量テキスト分析を行った.
【結果】以下に示す結果は,両年度共通であった.
学習行動
はほとんどの者が3)であった(74%,70%).この為,努力度も試験後に明らかに低下がみられた(p<0.01).この行動は,成績良好者,不良者で共通の傾向であった.試験成績は,試験前努力度にわずかに関係がみられ(r=0.48,0.4),試験後の努力度には関係ない(r=0.36,0.14)ことが判った.
学習行動
5)の者すべては,試験成績良好群に含まれていた.また他の
学習行動
の者より明らかに良好であった.教員の学生に感じている努力は,実際に学生が感じている努力度とは関係なく,試験成績に関係があった(r=0.77,0.6).面談結果では,学習意欲を高める因子,学習を継続していく因子として,プラス因子を主としている者とマイナス因子を主としている者が存在した.また,マイナス因子を持つものが多いことがわかった.
【考察】学生の
学習行動
は試験の前後で大きく変化し,試験前の努力は試験成績に関係ないことが判った.また,教員の感じている学生の努力度は,試験成績に大きく関与していることが判った.また,試験に関係なく努力している学生は,明らかに成績が良好であった.しかし,努力し続ける因子としては,プラス要因を主体とする者,マイナス要因を主体とする者と両者が存在する.この為,指導する方針は,この見極めが必要となる.
【まとめ】学生の指導のポイントとして,学生に感じている努力度と学生が感じている努力度と関係がないことを理解し,試験に関係なく勉強を続けるよう指導する必要がある.指導ポイントとして,学生により正の要因で勉強し続ける者と負の要因で勉強し続ける者がいる事を理解し,指導していく必要がある.
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