本研究の目的は,中学生のオブジェクト指向イベントドリブン型のプログラミングにおける問題解決過程をプログラム作成能力との関連から構造的に把握することである.プロトコル分析から作成した測定尺度(宮川ら2006)を用いて,中学生を対象とした実験授業及び調査を実施した.その結果,プログラミングにおける問題解決過程の構成因子として,「オブジェクト機能化」,「エラー修正」,「論理エラー探索」,「構文エラー探索」,「動作チェック」,「知識要求」の6因子が抽出された.また,各因子とプログラム作成課題の達成得点との関連から,プログラム作成能力の高い生徒は,(1)知識が豊富で,(2)形成したプランに基づいてオブジェクトを適切に機能化でき,(3)組織的にエラーを探索・修正することができるという特徴が示された.これらの結果は,今後のプログラミング学習における指導方略を検討する際,基礎的な知見となるものである.
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