健診における糖代謝異常のスクリーニング指標としてのfructosamine (FA) の有用性と限界について検討を加えた.対象は当センターを受診した1,000例 (男性574例, 女性426例) で, 全例に7590GTTを施行した.受診者を日本糖尿病学会勧告にしたがって分類すると, 正常型 (N群) 400例, 境界型 (B群) 524例, 糖尿病型 (DM群) 76例であった.FAとFBS, およびHbAIcとFBSとの間にそれぞれ有意の (r=0.768, P<0.01, r=0.807, P<0.01) 正相関を認めた.各群のFA値は, N群2.45±0.18, B群2.53±0.22, DM群3.24±0.84mmol/
lであり, DM群はB群およびN群に比し, またB群はN群に比し有意の (P<0.001) 高値を示した.次に耐糖能の判定をFBS・FA・HbA
1cの単独あるいは2項目組合せにより比較検討した.DM群・B群の検出率は, FBSが110mg/d
l以上では76.3%.15.3%, FAが2.7mmol/
l以上では72.4%・22.7%, HbA
1cが5.3%以上では73.7%・21.0%であった.さらにFBSとFAの組合せでは82.9%・32.4%, FBSとHbA
1cの組合せでは82.9%・30.7%と2項目を組合せることにより, 両者とも同程度に診断率の上昇を認めた.一方, N群のうち, cut-off値未満の者はFAが91.7%, HbA
1cが91.2%とN群を高率に検出することができた.以上より, 軽度耐糖能異常の判定には, 糖負荷試験が優iれているが, HbA
1cに比し測定の簡便なFAとFBSを組合せることにより, 多数例における糖尿病型と正常型のスクリーニングが可能であることが示された.
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