Recklinghausen病(以下R病と略す)は,神経線維肉腫などの非上皮性悪性腫瘍の合併が多く報告されているが,上皮性悪性腫瘍との合併は稀である,今回われわれは, R病に乳癌を合併した2症例を経験したので文献的に症例を集計し検討した.
症例1: 43歳女性.主訴は右乳房腫瘤.昭和63年8月,右乳房下方に8×6cm大の腫瘤を触れて来院.頸部に10×8cm大の神経線維腫があり,乳房腫瘤も1年前より気付いていた.術前病期T3a, Nla, M0, Stage IIIaであった.
症例2: 54歳女性.主訴は右乳房腫瘤.昭和63年4月,右乳房外側下方に2.5×2cm大の腫瘤を触れて来院. T2, N0, M0, Stage IIであった. 2症例とも定型的乳房切除術(Br+Ax+Mj+Mn)を施行し,組織学的にはともに硬癌であった.核DNA量は症例1はDNA anueploid症例2はDNA diploidであり, R病は突然変異による遺伝性疾患と考えられ,悪性腫瘍の発症との関連に於いて興味深いものがあり報告した.
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