2例の高地肺水腫患者の肺水腫液蛋白濃度の測定を行い, 肺微小血管の透過性亢進にっいて検討した. 症例1. 27歳, 男性. 奥穂高岳 (海抜3,190m) で発症. 呼吸困難, 昏睡となり, 緊急入院. 全身チアノーゼ, 水泡性ラ音を認め, 胸部X線写真では, 両肺野に斑状影を認めた. 肺水腫液/血清蛋白濃度比は0.76であった. 症例2. 22歳, 男性, 槍ケ岳 (海抜3,180m) で発症. 昏睡, 全身チアノーゼがあり, 緊急入院. 水泡性ラ音を認め, Babinski 反射陽性であった. 胸部X線写真では, 両肺野に斑状影を認めた. 肺水腫液/血清蛋白濃度比は1.26であった. 2例の肺水腫液/血清蛋白濃度比を, これまでの各種肺水腫のそれと対比検討すると, 高地肺水腫の肺水腫液の蛋白濃度は高値を示したので, 肺微小血管において, 蛋白に対する透過性亢進のあることが示唆された.
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