国立佐倉病院が平成16年3月国立療養所千葉東病院に統合されるに当たって, 過去22年間に取り扱った腎生検組織の内容を分析し記録に残しておく必要性を感じたのでまとめた. 腎生検の検索方法は光顕, 免疫蛍光抗体, 電顕検索を行って分析した. 対象検体は3,363検体で, その結果IgA腎症1,158(34%), その他の1次性疾患1, 507(45%), 膠原病関連腎炎その他の2次性疾患627(19%), 尿細管間質病変71(2%)であった.
腎内科医の腎生検に対する考え方に多様性が明らかになった. 血尿, 蛋白尿, ネフローゼ症候群などの臨床症状は腎生検を行って初めて病理形態像が明らかにされる.
主な疾患であるIgA腎症, 微小変化型ネフローゼ症候群,
巣状糸球体硬化症
を含むネフローゼ症候群, 半月体形成性糸球体腎炎, 糖尿病性腎症等の年次別推移では特異的な傾向は無かった. 微小変化型ネフローゼ症候群,
巣状糸球体硬化症
を多施設集計結果と比較すると, 前者は少なく後者は多かった. 大腸癌にともなう膜性腎症, サルコイドーシスによる間質病変など貴重な症例が含まれていた.
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