ゴウシュイモ(ジャガイモ)の特性と活用○植田和美
(四国大短大)
【目的】徳島県の祖谷地域で栽培される在来種のゴウシュイモ(源平いも)は、肉質は硬く、粘り気があり、煮くずれしにくい特徴を持つジャガイモである。祖谷地方の郷土料理である「でこまわし」に使用され、伝統野菜の1つとして産地化への取り組みがされている。ゴウシュイモに適した調理・加工品を考案することを目的とし、ゴウシュイモの性状の特徴を男爵薯、メークインと比較するとともに官能評価を行った。
【方法】実験試料としたジャガイモは、徳島県立農林水産総合技術支援センターより提供していただいたゴウシュイモ、スーパーマーケットから購入した男爵薯およびメークインを用いた。性状の特徴を見るため、でんぷん価、水分含量、色彩測定を行った。また、ゴウシュイモと男爵薯を用いて「ガレット」、「ジャガイモもち」を調製し、2点嗜好試験法により品種による嗜好性を比較した。
【結果】ゴウシュイモは、煮崩れしにくいのが特徴とされるが、今回の塩水法による実験では、男爵薯よりメークインのでんぷん価が高くなり、ゴウシュイモ(赤イモ・白イモ)はさらに高いでんぷん価と判定でき、煮崩れしやすいと推察された。しかし、「煮る」加熱後の破断応力ではゴウシュイモ(特に赤イモ)が最も高く、「煮る」加熱による煮崩れはゴウシュイモ(白イモより赤イモにおいて)では起こりにくいことが確認できた。今回のでんぷん価の結果とは異なるが、ゴウシュイモの特徴として確認できた「かたさ」や「煮崩れが少ない」から、煮込み調理への適性が示唆された。また、加熱後のモチモチした食感からは、「ジャガイモもち」、「ガレット」の手軽な間食やスナックとしての活用も示唆された。
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