高令化社会が急速に進み,我が国においても,老人医療が大きな社会問題となりつつある.こうしたなかで,老人の薬物療法による副作用としての
意識障害
や様々な精神,神経症状の発現が注目されている.臨床家にとって,老人の薬物体内動態を念頭におき,できる限り副作用の発現を回避し,老人の投薬に伴う諸問題を解決する努力をすることはきわめて重要である.本稿では老人の薬物体内動態の特徴,向神経・精神薬による抑うつ状態,
意識障害
,副作用として重要な悪性症候群,中枢性抗コリン作動症候群について触れ,あわせて老人への投薬に際して,注意すべき事項などについて述べることにする.
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