慢性EBウイルス感染症患者 (CAEBV) 3例はいずれも抗EBVVCA抗体高値, EA抗体陽性, EBNA抗体低値を持続し, 全身リンパ節腫脹, 細胞性免疫能の低下を示した.症例1, 2では免疫グロブリンの上昇, 易感染性, 症例3では汎血球減少を認めた.それぞれEBV陽性, latent membrane protein (LMP) 陽性の悪性組織球症, EBV陽性, LMP陰性の形質細胞腫, EBV陰性の急性骨髄性白血病を併発した.成人のCAEBVはEBV関連あるいは非関連の悪性腫瘍を併発しうる発癌の高危険群であることが示唆された.症例1と父親のHLAの表現型が一致していたので, 症例1, およびその両親における
in vitro末梢血単核球機能検査を行ないHLAとの関連を検討した.症例1ではEBV感染自己Bリンパ球に対して, 低値ながら細胞傷害活性を認めたが, その両親の反応は陰性であった.またこの細胞障害活性はHLA拘束性であった.NK活性は患者, 母親が低値であった. 症例1, 両親いずれの末梢血単核球においてもrecombinant Interleukin 2 (rIL-2) の存在下で培養することによりHLA非拘束性の細胞障害活性の促進が認められたが, 患者では誘導される細胞障害活性が低値にとどまった. HLAが一致する父親では, 健常者と同様の細胞障害活性の充進が認められた.症例1の家族調査により, HLAが患者と一致する父親では免疫反応の低下は認められず, 免疫不全とHLAとの関連は乏しいことが明らかになった. CAEBVに関与する疾患遺伝子の検索は今後の研究課題である.
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