詳細検索結果
以下の条件での結果を表示する: 検索条件を変更
クエリ検索: "抗精神病薬"
5,587件中 1-20の結果を表示しています
  • 中村 智之, 藤島 一郎, 片桐 伯真, 西村 立, 片山 直紀, 渡邉 浩司
    The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
    2013年 50 巻 9 号 743-750
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/20
    ジャーナル フリー
    目的:精神疾患を持つ患者の摂食・嚥下障害の帰結と向精神薬の関係を検証する.方法:2011 年1 月~ 2012 年4 月に当院精神科入院中,摂食・嚥下障害に言語聴覚療法を処方した患者53 人を後方視的に,退院時の経口のみでの栄養摂取の可否で不良群と良好群に分類し,入退院時の定型・非定型
    抗精神病薬
    ,睡眠薬・抗不安薬,抗うつ薬,気分安定剤の内服種類数,定型・非定型
    抗精神病薬
    の総量,年齢,性別,精神科基礎疾患とその罹病期間,中枢神経疾患の既往,誤嚥性肺炎の合併,入院・介入期間,入院時GAF尺度を統計学的に考察した.結果:摂食・嚥下障害の帰結に,入院時の
    抗精神病薬
    ,特に定型
    抗精神病薬
    の内服種類数が有意に関連した.
    抗精神病薬
    ,特に非定型
    抗精神病薬
    の内服総量は良好群で多かった.結論:摂食・嚥下障害発症前から
    抗精神病薬
    ,特に定型
    抗精神病薬
    の多剤併用を避け,非定型
    抗精神病薬
    を単剤で投与することが,実用的な経口摂取につながりうる.
  • *袴田 潤, 橋口 正行, 志賀 剛
    日本臨床薬理学会学術総会抄録集
    2023年 44 巻 44_1-C-P-A3
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/09
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】

    抗精神病薬
    による心臓突然死はよく知られているが、その原因のひとつに薬剤性QT延長症候群がある。QT延長に伴うTorsades de Pointes (TdP)、心室頻拍(VT)、心室細動(VF)は致死性不整脈とされ、重大な心性副作用である薬剤性QT延長症候群は、循環器系薬に次いで中枢神経薬に多いことが報告されている。そこで、FDAの自発報告データベース (FAERS) を用いて、QT延長/TdP/VT/VFの自発報告状況と患者の特徴を調査した。【方法】2017年1月~2021年12月までのFDAの自発報告データベース(FAERS)を用いて、不整脈に関連する有害事象報告を収集した。調査対象とする
    抗精神病薬
    は日本で承認されている薬剤に限定した。QT延長/TdPまたは、TdP/VT/VFの報告例のリスクは、記述統計ならびに各薬剤のreporting odds ratio (ROR) と95%信頼区間を用いて評価した。RORは年齢、性別で調整した。【結果・考察】QT延長/TdP/VT/VFの生じた全報告症例は22,079例のうち、被疑薬として
    抗精神病薬
    (定型・非定型)の関与が疑われた症例数は3,335例であった。その3,335例の有害事象の内訳はQT延長:3,024例、TdP:293例、心室細動:198例、心室性頻脈:151例であった。患者特性としては、男性が51.8%、年齢は48.6±20.6歳であった。QT延長/TdPの調整RORは定型
    抗精神病薬
    のフルフェナジン(17.5)、レボメプロマジン(13.7)、プロクロルペラジン(12.5)、クロルプロマジン(10.7)、非定型
    抗精神病薬
    のオランザピン(10.5)、クエチアピン(10.3)の順に高かった。TdP/VT/VFはフルフェナジン(41.6)、プロクロルペラジン(8.6)、ハロペリドール(6.1)、クロルプロマジン(5.4)の順に高かった。定型
    抗精神病薬は非定型抗精神病薬
    よりRORが高い傾向が見られた。我々が過去に報告したJADERの調査においても、定型
    抗精神病薬が非定型抗精神病薬
    と比較してRORが高い傾向を示しており、本結果は同様の傾向が得られた。【結論】
    抗精神病薬
    による薬剤性QT延長症候群は非定型
    抗精神病薬と比較し定型抗精神病薬
    でRORが高い傾向が見られた。従って、日常診療において、特に定型
    抗精神病薬
    の治療を行う際は、薬剤性QT延長症候群を考慮したリスク&ベネフィットの評価と心電図モニタリングが必要と考えられる。

  • *清水 佐紀, 多田羅 絢加, 佐藤 真穂, 杉内 友音, 増井 淳, 水口 裕登, 木津 朋也, 安達 咲希, 河合 悦子, 大野 行弘
    日本毒性学会学術年会
    2012年 39.1 巻 P-1
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/24
    会議録・要旨集 フリー
    抗精神病薬
    が引き起こす重篤な副作用に錐体外路系運動障害がある。一方、
    抗精神病薬
    は統合失調症の治療のみではなく、気分障害(うつ病、双極性障害)の治療にも繁用されており、臨床において
    抗精神病薬
    と抗うつ薬が併用される機会が急増している。しかし、錐体外路系副作用発現における
    抗精神病薬
    と抗うつ薬との相互作用に関する評価報告は少ない。そこで今回、
    抗精神病薬
    による錐体外路系副作用発現に対する抗うつ薬の併用効果と、その相互作用メカニズムについて検討した。実験にはddY系雄性マウスを用い、錐体外路系運動障害はpole testおよびcatalepsy testにより評価した。
    抗精神病薬
    であるhaloperidolにより誘発された錐体外路障害は、選択的セロトニン5-HT再取り込み阻害薬SSRI(fluoxetineおよびparoxetine)および三環系抗うつ薬(clomipramine)によって有意に増強された。これに対して、α2受容体拮抗作用を有するNaSSA系抗うつ薬(mirtazapine)は錐体外路障害を増強せず、むしろ、これを改善した。次に、各種受容体拮抗薬の作用を検討したところ、fluoxetineによる錐体外路障害の増強は、5-HT2(ritanserin)、5-HT3(ondansetron)あるいは5-HT6(SB-258585)拮抗薬によっていずれも有意に拮抗された。さらに、α2A(BRL-44408)およびα2C(JP-1302)拮抗薬も錐体外路障害を有意に改善した。以上の結果から、5-HT再取り込み阻害作用を有する抗うつ薬は
    抗精神病薬
    の錐体外路系副作用を増強し、この効果は5-HT2、5-HT3および5-HT6受容体を介することが示唆された。さらに、
    抗精神病薬
    との併用ではNaSSA系抗うつ薬の安全性が優れ、この特性にはα2受容体拮抗作用が関与していると考えられた。
  • 尾久 征三, 佐々木 浩二, 佐藤 伸一郎, 中川 伸明, 阿部 公信, 濱田 博文, 重松 淳哉, 小嶋 享二
    九州神経精神医学
    2018年 64 巻 3_4 号 118-128
    発行日: 2018/12/15
    公開日: 2020/03/26
    ジャーナル フリー

     当院では2016年4月より外来多剤併用処方の適正化に取組んでいる。外来における

    抗精神病薬
    の処方実態を把握し,減量・減薬の取組みの結果を評価すると共に処方適正化の成否の要因を検討した。2016年4月に
    抗精神病薬
    3剤以上を外来投与された患者で,同年12月まで通院し追跡できた症例(N=151)を対象とした。薬剤数は平均3.25剤から2.25剤に,CP換算量は1116.6mgから967.4mgに有意に減少した。効果としては,患者自己評価改善,過鎮静改善等あり,有害事象は入院,精神症状悪化/動揺等であった。薬剤数の減少と主治医専門医資格の有無に有意な相関を認めた。他方,薬剤数の減少と措置入院歴,自殺企図歴では有意な相関は認められなかった。また,減薬困難例の中には,病状のため多剤併用処方が必要な患者が存在すると考えられ,多剤併用や定型薬の併用により病状を安定し外来維持できているケースがあることも示唆された。

  • 浜中 聡子, 上條 吉人
    日本集中治療医学会雑誌
    2007年 14 巻 3 号 271-276
    発行日: 2007/07/01
    公開日: 2008/10/24
    ジャーナル フリー
    抗精神病薬
    は, 統合失調症をはじめとする精神障害の治療薬として広く用いられている。欧米では以前より, クロルプロマジンを中心とする従来型
    抗精神病薬
    のみならず, クロザピンを中心とした非定型
    抗精神病薬
    服用症例に発症する肺血栓塞栓症 (pulmonary thromboembolism, PTE) の報告が多数みられ, 近年ではPTEの治療ガイドラインでも
    抗精神病薬
    服用がPTEの危険因子として記載されるようになった。一方本邦では,
    抗精神病薬
    服用がPTEの危険因子のひとつであることは, いまだ十分に認知されていない。しかし最近の研究報告から, 本邦もその例外ではなく, むしろPTE症例の中で
    抗精神病薬
    服用症例の割合が非常に高いことが示されている。
    抗精神病薬
    服用がPTEの危険因子となるメカニズムは明らかではないが, 血小板の5-HT2A受容体を介した血小板凝集能の亢進や, 薬剤性の全身性エリテマトーデス (systemic lupus erythematosus, SLE) などの関与が指摘されている。今後この分野の研究が進み,
    抗精神病薬
    服用症例の突然死の原因となるPTEの具体的な予防策がもたらされることを期待する。
  • 長嶺 敬彦
    総合病院精神医学
    2019年 31 巻 4 号 386-394
    発行日: 2019/10/15
    公開日: 2024/07/26
    ジャーナル フリー

    総合病院で

    抗精神病薬
    が処方される患者は2通りある。1つは,重篤な身体疾患で総合病院に入院した患者がせん妄などの精神症状を惹起し,その治療のために
    抗精神病薬
    が処方される場合である。
    抗精神病薬
    のせん妄への治療効果は限定的であるので,薬物動態を考慮して必要最小限とすべきである。もう1つは,精神疾患患者が身体疾患の治療のために総合病院に入院する場合である。
    抗精神病薬
    が入院の原因となった併存疾患を悪化させる可能性に注意する必要がある。
    抗精神病薬
    の受容体プロファイルを理解し,併存疾患の治療への影響を最小限とすることが重要である。

  • 伊豫 雅臣, 橋本 謙二
    臨床薬理
    2002年 33 巻 3 号 545S-546S
    発行日: 2002/05/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • *竹内 啓善
    日本臨床薬理学会学術総会抄録集
    2022年 43 巻 43_1-C-S07-3
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/26
    会議録・要旨集 フリー

    統合失調症の症状、特に幻覚妄想や解体といった陽性症状に対し、

    抗精神病薬
    は治療の中心的役割を果たす。陽性症状が活発な急性期ばかりでなく、これらが安定した後の維持期においても、再発防止のために
    抗精神病薬
    の継続が必要とされる。一方で、
    抗精神病薬
    は錐体外路症状、高プロラクチン血症、代謝障害、心血管障害など様々な副作用を惹起する。副作用の一部は用量依存性であること考慮すると、
    抗精神病薬
    は必要最小限の投与が理想的と考えられ、その方法として単剤化と減量がある。本講演では、メタアナリシスの結果、アルゴリズムやガイドラインでの推奨を中心に、これらについてのエビデンスを概観する。加えて、現在進行中の第2世代
    抗精神病薬
    持効性注射剤の減量に関する多施設共同二重盲検無作為化比較試験(SLAIDER研究)の中間解析結果について紹介する。

  • 瀬上 夏樹
    日本顎関節学会雑誌
    2016年 28 巻 1 号 14-21
    発行日: 2016/04/20
    公開日: 2016/05/23
    ジャーナル フリー
    顎関節脱臼は,高齢認知症患者で激増し社会問題化しつつある。一方で本症に対する外科療法は枚挙に暇がなく,一定の適応基準も策定されていない。そこで以下の問題提起と外科療法の適応フローチャートを提唱するために,自験的,文献的検討を行った。まず,本邦では顎関節脱臼に対して外科療法を含む総括的診療の専門施設がほとんどなく,患者がある意味で難民化していることである。これを早急に解決すべく学会主導による病院間の連携システムを構築することを提案する。次に,これまで行われてきた手術法は,大別して運動平滑化法と運動抑制法であり,前者は関節結節削除術(Eminectomy)で,後者はLeClerc氏手術,捕縛拘束術である。当科で過去20年間に手術を施行した77例のうち,関節鏡視下結節形成術16例を除く61例で奏効率は87%であった。8例の再発例はすべてEminectomy単独施行例で,円板切除あるいは高位下顎頭切除を加えた群では再発はなかった。陳旧性,習慣性の両群でも差はなかった。また鎮静局麻下で施行可能な直達アプローチの成績も良好であった。周術期偶発症は術中17%,術後20%と高かった。以上の経験ならびに文献的考察より,顎関節脱臼患者に対する診断・外科療法チャートを提唱した。まず,基礎的全身疾患,認知症の有無の診査と専門医への対診を行う。またジストニアの合併や可能性の評価からEminectomyあるいはLeClerc氏手術の判断を行い,次にpneumatizationなど局所状況を評価して各手術の適応判断を行うことで良好な外科療法の適応が遂行できると考えられた。当然,高齢ハイリスク患者の手術であるから,致命的なものを含めた合併症への対策と説明は必須となる。
  • ―薬物療法のプレコンセプションケアの重要性について―
    佐藤 謙伍, 髙崎 創太, 西依 康, 塩田 勝利, 須田 史朗
    総合病院精神医学
    2022年 34 巻 3 号 270-277
    発行日: 2022/07/15
    公開日: 2024/11/22
    ジャーナル フリー

    妊娠希望により

    抗精神病薬
    を怠薬し,自宅で墜落分娩となり児も乳児院に入所となった統合失調症症例を経験した。患者やその家族だけではなく,精神科医も妊娠・授乳期の
    抗精神病薬
    使用について不安をもつことが多く,妊娠期には
    抗精神病薬
    を減量・中止する例も少なくない。しかしこれまでの研究結果では,妊娠・出産・授乳期の
    抗精神病薬
    の使用は,リスクよりベネフィットが大きいと考えられる。本症例でも精神科医が妊娠・出産・授乳期の
    抗精神病薬
    使用について十分な知識を有し,患者とその家族に適切な薬物療法のプレコンセプションケアを行っていれば違う結果になっていた可能性がある。本症例のような転帰を防ぐために,精神科医は十分な妊娠・授乳期の
    抗精神病薬
    使用についての知識を有して,妊娠の可能性のある患者には,適切な薬物療法のプレコンセプションケアを行うことが重要である。

  • 石郷岡 純
    臨床薬理
    2012年 43 巻 3 号 139-146
    発行日: 2012/05/31
    公開日: 2012/08/01
    ジャーナル フリー
    This article describes the history of antipsychotic drugs and the current situations of development of newer candidates. For the past sixty years, dopamine D2 receptor antagonism has been the only pharmacological intervention for schizophrenia, and several second generation antipsychotics (SGAs) have been developed since the 1990s. Although these SGAs have greatly innovated the treatment of schizophrenia, there remains many unmet needs to achieve recovery as the therapeutic goal. One of the mostly focused interests in the search for drugs with further efficacies is recognition impairment in patients with schizophrenia. Recognition impairment is a great hindrance to normalization of schizophrenic patients in terms of social functions and QOL, and is a domain that shows little response to current antipsychotics. Therefore, trends in recent years have been mainly toward the development of compounds with efficacy in improving cognition enhancement. There are several possible pharmacological interventions for cognition enhancement. Interventions based on the glutamatergic hypothesis are actively being developed, such as mGlu 2/3 agonists and glycine transporter 1 inhibitors. A breakthrough of non-dopaminergic drugs with higher efficacies will be seen in the near future.
  • 福田 武美, 津曲 立身
    日本薬理学雑誌
    1984年 83 巻 6 号 485-496
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    ラット外側視床下部電気刺激による自己刺激行動に及ぼす向精神薬の影響を検討した.被検薬を経口投与して1,3,6および24時間後にそれぞれ10分間のレパー押し回数を測定した.
    抗精神病薬
    のchlorpromazine,thioridazine,perphenazine,haloperidol,floropipamide,pimozide,clocapramineおよびoxypertineは用量依存的に自己刺激行動を抑制した.carpipramineおよびsulpirideは80mg/kgで有意な影響を及ぼさなかった,ベンゾジアゼピン系(chlordiazepoxide,diazepam)およびチエノジアゼピン系(clotiazepam,etizolam)抗不安薬は5および25mg/kgで自己刺激行動を促進した.抗うつ薬のimipramineおよびamitriptylineは40mg/kgで自己刺激行動にほとんど影響を及ぼさなかった.交感神経α1 遮断薬のphenoxybenzamineは自己刺激行動を抑制したが,その用量―反応曲線の勾配は
    抗精神病薬
    に比べ,かなり緩やかであった.
    抗精神病薬
    による自己刺激行動の抑制作用は主にドーパミン受容体を介した機序により発現すると考えられた.そこで一側線条体を6-hydroxydopamineにより破壊したラットを用い,methamphetamineにより惹起される旋回行動を指標として,
    抗精神病薬
    の線条体ドーパミン受容体遮断作用を調べ,
    抗精神病薬
    による自己刺激行動抑制作用との関連性について検討した.自己刺激行動を抑制した
    抗精神病薬
    はすべて旋回行動を有意に抑制した.しかしながら各被検薬の両行動に対する抑制作用の程度は異なっていた.haloperidoIおよびpimozideは旋回行動をより強く抑制したのに対し,thioridazineは自己刺激行動をより強く抑制した.以上の成績より,自己刺激行動に対して,
    抗精神病薬
    と抗不安薬とは相反する作用を有し,
    抗精神病薬
    による自己刺激行動抑制作用と旋回行動抑制作用とは相関しなかったことから,自己刺激行動に関与するドーパミン受容体は線条体以外の部位にあることが示唆された.
  • 根本 厚志, 中村 信子, 内山 真由美, 渥美 磨子, 小泉 麻子, 菊池 友宏, 金原 彰子, 鳥羽 南海子, 石川 彰子
    理学療法学Supplement
    2009年 2008 巻 P3-213
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】入院患者の平均年齢が80歳を超えている当院では、精神症状を呈し、病棟生活やリハビリテーション(以下、リハ)に支障をきたすケースは珍しくない.うつ病に関しては、その合併がADLの回復を阻害することを示した研究が存在する.しかし、その他の精神症状とADLに関する報告は対象症例数の少ないものがほとんどである.そこで、処方された向精神薬に着目し、向精神薬の種類別にADLの変化を調べることで、精神症状別のADLへの影響を類推することを目的とした.
    【方法】対象は2006年1月~2007年12月に当院回復期リハ病棟に入院し、1ヶ月以上リハを受けた65歳以上で病前は自宅生活者であった194名とした.代表的な向精神薬として睡眠薬、
    抗精神病薬
    、抗うつ薬、抗不安薬を選択し、「今日の治療薬」(南江堂)の分類に準じて、
    抗精神病薬
    または抗うつ薬処方70名(以下、A群.平均年齢82.2±6.2歳.睡眠薬、抗不安薬との併用を含む)、睡眠薬または抗不安薬のみ処方50名(以下、B群.平均年齢81.1±7.8歳)、上記の向精神薬非処方74名(以下、C群.平均年齢81.0±7.6歳)に分類した.各群の入院時と退院時のFIM得点をWilcoxon符号付順位和検定で比較した.3群間のFIM得点及びFIM変化(退院時と入院時の得点差)をKruskal-Wallis testと多重比較検定Scheffe’s F testで比較した.統計学的有意水準は5%未満とした.本研究は倫理性に十分配慮した.
    【結果】各群の入・退院時の得点は平均値(中央値)で、A群47.3±22.9(41)→59.2±29.2(53.5)、B群61.7±27.2(66)→80.3±30.1(88)、C群63.6±27.7(63.5)→82.1±33.8(91.5)であり、3群とも有意に改善した.3群間の得点の比較では入・退院時ともA群はB群とC群に比べ有意に低く、B群とC群では有意差はなかった.FIM変化は3群間にて有意差が認められたが、多重比較では有意差を示さなかった.A群を
    抗精神病薬
    のみ処方45名、抗うつ薬のみ処方18名、
    抗精神病薬
    と抗うつ薬の両者処方7名に細分すると、入・退院時のFIM得点は平均値で、それぞれ47.2±22.8→59.6±29.0、51.7±25.5→65.3±30.8 、36.9±13.8→41.3±21.0であった.
    【考察とまとめ】
    抗精神病薬
    や抗うつ薬を要する症状は病棟生活やリハへの支障が大きく、一方で睡眠薬や抗不安薬のみ要する症状は病棟生活やリハに大きな影響はないことが示された.症例数が不十分なため、
    抗精神病薬
    と抗うつ薬との比較は統計解析を行わなかったが、本研究では
    抗精神病薬
    のみ要した者のADLの自立度・改善度は抗うつ薬のみ要した者と比べ、若干低い数値となった.
    抗精神病薬
    と抗うつ薬を併用した者では極めて低い数値となった.
    抗精神病薬
    は精神病性障害、せん妄、認知症に伴う幻覚、妄想、興奮、不穏、攻撃的言動、激しい焦燥等に用いられるが、これらの精神症状はうつ同様にADLへの影響が大きい可能性が示唆された.
  • *前島 多絵, 渡邊 真知子, 板垣 文雄
    日本臨床薬理学会学術総会抄録集
    2021年 42 巻 42_3-P-R-3
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/17
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】

    抗精神病薬
    の使用には血栓塞栓症のリスクがあることが知られており、2010年以降、本邦の添付文書においても注意喚起されている。日本人は欧米人と比較して血栓塞栓症の発症率が低く、また静脈血栓塞栓症(VTE)の先天性危険因子である特定の遺伝子変異が見られない等の特徴があるが、本邦における
    抗精神病薬
    使用下の血栓塞栓症に関しては十分に解析されていない。本研究は、PMDAが公開している有害事象自発報告データベース(JADER)を用いて、日本人における
    抗精神病薬
    使用下の血栓塞栓症を解析し、重篤な転帰をたどる要因を明らかにすることを目的とした。

    【方法】2004年4月から2020年7月までにJADERに登録された

    抗精神病薬
    使用下の血栓塞栓症の症例を抽出した。症例の抽出には「塞栓および血栓(SMQ)」を用いた。欠損および重複データを削除した後、 重篤でない転帰(回復と軽快)と重篤な転帰(後遺症あり、未回復、死亡)の2群に分類した。多変量ロジスティック回帰分析により、重篤な転帰をたどる要因を特定した。

    【結果・考察】

    抗精神病薬
    を使用していた32,421症例から、1,111症例の血栓塞栓症を抽出し、903症例を解析対象とした。重篤でない転帰には489症例、重篤な転帰には414症例がそれぞれ分類された。動脈血栓塞栓症(ATE)は169例、VTEは414例、血管タイプ不明あるいは混合型の塞栓および血栓は320例であった。多変量ロジスティック回帰分析の結果、重篤な転帰をたどるリスク要因として、使用薬剤の中に3剤以上の
    抗精神病薬
    が含まれることが抽出された(調整オッズ比:2.04,95%CI:1.34-3.09)。本邦では診療報酬において、3剤以上の
    抗精神病薬
    の使用に制限があるが、同時併用に限らず、薬剤調整や変更を含め3剤以上の
    抗精神病薬
    を使用することで血栓塞栓症の重篤な転帰のリスクとなることが示唆された。一方、ホルモン療法を併用した患者は、重篤な転帰をたどるリスクが低かった(調整オッズ比:0.21,95%CI:0.09-0.49)。これはホルモン療法併用患者における血栓塞栓症の79%がVTEであったことや、ホルモン療法が血栓症のリスク要因であることが既に認識されているため早期発見に至った可能性が理由として考えられる。

    【結論】ATEとVTEは病因や予後が異なるが、

    抗精神病薬
    使用時にはそれらの発症リスクを考慮し、さらに同時併用に限らず3剤以上の
    抗精神病薬
    を用いる場合は、重篤な血栓塞栓症の発症に注意が必要と考える。

  • 奥平 智之, 矢久保 修嗣, 木下 優子, 上田 ゆき子, 安藝 竜彦, 根本 安人, 大賀 健太郎
    日大医学雑誌
    2010年 69 巻 3 号 212-214
    発行日: 2010/06/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    抗精神病薬
    と抑肝散の併用が有効であった 68 歳男性の統合失調症の症例を報告する.本症例では,アリピプラゾールによる薬物療法中に,易怒性と不眠と聴覚過敏を示したが,抑肝散の併用によりこれらの症状は消失した.
    抗精神病薬
    と抑肝散の併用が有用な統合失調症患者がいる可能性が示唆された.しかし,このような報告は未だ少ないため,今後,
    抗精神病薬
    と抑肝散を併用した統合失調症患者に関するさらなる検討が必要である.
  • 有田 眞
    心電図
    2016年 36 巻 1 号 18-23
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/25
    ジャーナル フリー
  • 廣瀬 毅, 間宮 教之, 山田 佐紀子, 田口 賢, 亀谷 輝親, 菊地 哲朗
    日本薬理学雑誌
    2006年 128 巻 5 号 331-345
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/14
    ジャーナル フリー
    統合失調症は,生涯罹病危険率が人口の0.75~1 %を占める代表的な精神疾患であり,中枢のドパミン作動性神経の過剰活動にその主な原因があると考えられている(ドパミン過剰仮説).過去には,クロルプロマジンを始めとしてハロペリドールなどのドパミンD2受容体アンタゴニスト作用を有する薬剤が数多く開発された.これら定型
    抗精神病薬
    は総合失調症の症状の中で,幻覚,妄想および精神運動性興奮などの陽性症状に対しては効果がある反面,情動の平板化,感情的引きこもりおよび運動減退などのいわゆる陰性症状に対しては効果が弱い.安全性の面では,アカシジア,ジストニア,パーキンソン様運動障害などの錐体外路系副作用が多く,高プロラクチン血症が問題になっていた.1990年代に入って,非定型
    抗精神病薬
    の概念を確立させたクロザピンに続くオランザピンの開発,リスペリドンを始めとするserotonin-dopamine antagonist(SDA)の開発などで,先述した定型
    抗精神病薬
    の欠点の中で特に錐体外路系副作用を軽減することができた.しかし,非定型
    抗精神病薬
    の残る副作用として,体重増加,脂質代謝異常,過鎮静作用,心臓QT間隔延長などがクローズアップされ,より安全性と効果の面で優れた,次世代の
    抗精神病薬
    の登場が待たれていた.大塚製薬では,1970年代後半より,統合失調症のドパミン過剰仮説にのっとり,シナプス前部位ドパミン自己受容体へのアゴニストの研究を開始した.その後,その研究をシナプス前部位ドパミン自己受容体へはアゴニストそしてシナプス後部位ドパミンD2受容体に対してはアンタゴニストとして作用する新しい化合物の研究へと発展させ,その成果として,ドパミンD2受容体部分アゴニスト,アリピプラゾールを見出した.アリピプラゾールは,ドパミンD2受容体部分アゴニスト作用を有する世界で初めての
    抗精神病薬
    であり,既存薬とは異なりドパミン神経伝達に対してdopamine system stabilizer(DSS)として働くことより次世代の
    抗精神病薬
    として注目されている.
  • 徳田 久美子
    日本薬理学雑誌
    2006年 128 巻 3 号 173-176
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/14
    ジャーナル フリー
    統合失調症治療薬(
    抗精神病薬
    )には,ほぼ全てに共通してドパミンD2受容体拮抗作用があり,ドパミン神経機能の異常に基づく病態モデルにおいて,各種の行動異常を抑制する.このようなD2受容体拮抗作用は,臨床における幻覚,妄想等の陽性症状改善に寄与すると考えられている.しかし,D2受容体に選択的な拮抗薬では,重篤な運動障害である錐体外路系副作用(EPS)や内分泌系副作用を誘発しやすい点が問題とされたため,最近では,EPSが軽減された非定型
    抗精神病薬
    による治療が主流となっている.非定型
    抗精神病薬
    の多くは,D2受容体拮抗作用に加えて,セロトニン5-HT2受容体拮抗作用を有し,感情鈍磨や自発性欠如等の陰性症状にも有効とされる.一方,
    抗精神病薬
    による過度の鎮静・血圧降下等の副作用には,アドレナリンα1受容体やヒスタミンH1受容体に対する拮抗作用が関与すると言われる.現在,NMDA受容体機能低下仮説に基づく非ドパミン系の薬剤や,認知機能改善に焦点を当てた薬剤も開発が進められており,今後の動向が注目される.
  • 後藤 伸之, 加藤 寿規, 渡辺 享平, 白波瀬 正樹, 脇屋 義文, 政田 幹夫
    臨床薬理
    2003年 34 巻 2 号 357S-358S
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 小野 紘貴, 杉野 圭史, 齋藤 美加子, 関根 悠, 久保田 紘章, 馬上 修一, 須藤 美和, 八木田 裕治, 熊谷 幸枝, 坪井 永保
    日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
    2025年 34 巻 3 号 260-264
    発行日: 2025/08/25
    公開日: 2025/08/25
    ジャーナル フリー HTML

    間質性肺炎は慢性進行性の疾患であり,病勢進行によって生じる呼吸困難や不安感の増大に対する症状を緩和することは重要な課題であるが,有効な薬剤についての検討や報告は少ない,そこで当院で間質性肺炎に対して入院で緩和ケアを導入された28例について後方視的に検討を行った.呼吸困難に対してモルヒネ経口投与が9例,モルヒネ経口投与+

    抗精神病薬
    15例,モルヒネ経口投与+抗うつ薬3例,モルヒネ経口投与+
    抗精神病薬
    +抗うつ薬1例に導入され,介入前後のIPOSスコア平均値は3.0から1.61と改善を認めた.また不安に対して
    抗精神病薬
    9例(60%),
    抗精神病薬
    +睡眠導入剤4例(26.7%),抗うつ薬1例(6.7%),抗うつ薬+睡眠導入剤1例(6.7%)が導入されIPOSスコアの平均値2.91から1.27と改善が認められた.短期間での検討においてモルヒネ経口内服及び抗不安薬は間質性肺炎患者の呼吸困難や不安感の改善に寄与した.

feedback
Top