本研究は,令和4年度から実施されている学習指導要領で新たに設置された新科目「理数探究基礎」の指導法や評価法の示唆を得るために,教科書の内容を比較検討し,その特徴を明らかにするものである.教科書は,「理数探究基礎(
数研出版
)」と「理数探究基礎 未来に向かって(啓林館)」を取り上げた.具体的には,教科書の内容構成や,索引から扱っている用語を比較検討した.その結果,一方はデータの処理や分析をする際に必要な知識として,数学B「統計的な推測」の学習内容の他,それを超えた内容についても扱っていた.高等学校数学科における学習指導要領改訂の趣旨の一つに,データを収集・分析して課題解決する力を育成するために統計的な内容を充実させたことが挙げられており,理数探究基礎において統計処理に関する知識を十分に身に着けさせることは,判断力や課題解決力の育成につながることが示唆された.
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