【目的】本研究は30秒椅子立ち上がりテスト（以下、CS-30）が慢性閉塞性肺疾患（以下、COPD）患者の客観的な全身持久力評価として、有用であるのか検証することを目的とする。
【方法】対象は、研究の参加に同意が得られた呼吸リハビリテーションを実施している安定期COPD患者21名（男性19名、女性2名、平均年齢74.5±6.6歳）とした。除外対象者は、重篤な内科的合併症の有する者、歩行に支障をきたすような骨関節疾患を有する者、脳血管障害の既往がある者、その他歩行時に介助を有する者、理解力が不良な者、測定への同意が得られなかった者とした。測定項目は、身体組成、Medical Research Council 息切れスケール（以下、MRC息切れスケール）、肺機能検査、呼吸筋力検査（%最大吸気口腔内圧（以下、%MIP）、%最大呼気口腔内圧（以下、%MEP））、握力を体重で除した%握力、膝伸展筋力を体重で除した%膝伸展筋力、Timed Up and Go Test（以下、TUG）、CS-30、6分間歩行距離テスト（以下、6MWT）、Incremental Shuttle Walking Test（以下、ISWT）、The Nagasaki University Respiratory ADL questionnaire（以下、NRADL）、St George’s Respiratory Questionnaire（以下、SGRQ）とした。統計学的解析は、CS-30と測定項目の相関をPearsonの相関係数を用いて分析した。また、予測式は従属変数をISWT、独立変数をCS-30とし、単回帰分析にて回帰式を求めた。更にCS-30の中央値で高値群、低値群の2群に分類し、測定項目をStudentのt検定で分析し、CS-30の影響の強さを多重ロジスティック回帰分析で分析した。統計学的有意水準は5%とし、データ表記は平均値±標準偏差で示した。
【説明と同意】対象には本研究の意義、目的、方法などを文書と口頭にて説明し、同意を得た。なお、本研究はベルランド病院研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。
【結果】対象の特性は、%標準体重 94.7±18.5%、MRC息切れスケール 2.4±1.3、%FVC 80.8±20.4%、%FEV_1.0 58.0±24.7%、FEV_1.0% 55.6±15.1%、%MIP 93.3±36.2%、%MEP 87.3±30.1%、%握力 54.4±14.0%、%膝伸展筋力 51.9±19.0%、TUG 6.9±2.3sec、CS-30 16.3±5.4回、6MWT 384.9±110.3m、ISWT 342.9±186.4m、NRADL 80.4±21.1点、SGRQ 48.1±22.2であった。CS-30とMRC息切れスケール（r=-0.692、p=0.001）、%握力（r=0.450、p=0.041）、%膝伸展筋力（r=0.629、p=0.002）、TUG（r=0.611、p=0.003）、6MWT（r=0.747、p=0.001）、ISWT（r=0.853、p<0.001）、NRADL（r=0.722、p<0.001）、SGRQ（r=0.806、p<0.001）に有意な相関が認められた。従属変数をISWT、独立変数をCS-30とする単回帰分析ではy=29.5x-138.5（R²=0.728、p<0.001）の回帰式が得られた。また、CS-30の中央値は15回であり、16回以上を高値群、15回以下を低値群とし、高値群が10名（平均値20.6±4.3回）、低値群が11名（平均値12.5±2.7回）であった。その2群間においてMRC息切れスケール（p<0.001）、%膝伸展筋力（p=0.046）、%MEP（p=0.032）、TUG（p=0.022） 、CS-30（p<0.001）、6MWT（p=0.012）、ISWT（p=0.003）、NRADL（p=0.002）、SGRQ（p=0.002）に有意差が認められ、MRC息切れスケールで強い影響がみられた（OR=0.09、95%CI=0.07～1.195）。
【考察】COPD患者に対して下肢筋力の簡易テストであるCS-30を実施し、ISWTを予測した。ISWTは6MWTと比較して、再現性がよく、最高酸素摂取量と強い相関関係を認めることが報告されている。今回、CS-30とISWTが高い相関を認めたこと、有意な回帰式が得られたことから、CS-30はCOPD患者のISWT（全身持久力）を予測することができると示唆された。更にCS-30はNRADL、SGRQとも高い相関が認められた。NRADL、SGRQは全身持久力の影響を強く受けるであろうことから、その両者と高い相関を認めたCS-30は全身持久力に何らかの影響を与えることが推測された。また、CS-30と%膝伸展筋力との間に相関は認められたものの、健常高齢者よりも低い相関であった。原因として、CS-30とMRC息切れスケールに相関が認められること、CS-30高値群と低値群でMRC息切れスケールに有意差があったこと、MRC息切れスケールのオッズ比で強い影響があったことから呼吸困難感が関与したためであると考察できた。以上のことから、COPD患者に対するCS-30は筋力評価より、むしろ全身持久力評価法としての活用が有用であるのではないかと考察した。
【理学療法学研究としての意義】CS-30とISWTは高い相関を示し、有意な回帰式が得られたことで、CS-30は全身持久力を予測する方法として有用であることが示唆された。従来のフィールド歩行テストのデメリットであった転倒や循環能のモニタリングなどリスク管理が可能になると考えられ、臨床的な全身持久力評価として提案できる有意義な研究となった。

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魚骨による虫垂穿孔の1例を経験したので報告する.症例は43歳,男性.下腹部痛を主訴に来院した.腹部所見と腹部CT検査所見から糞石を伴う急性虫垂炎と術前診断し,手術を施行した.開腹すると虫垂体部に魚骨様異物による穿孔を認めた.虫垂穿孔部以外の炎症は軽度であり,順行性虫垂切除術を行った.元素分析とその形態から異物は魚骨であると判明した.病理学的検査で虫垂穿孔部以外の粘膜は炎症を認めないことから穿孔性虫垂炎ではなく,魚骨による虫垂穿孔と診断した.魚骨による虫垂穿孔は稀であり,本例は病理学的に虫垂穿孔であることを確認できた興味深い症例であると思われた.

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症例は糖尿病を有する58歳,男性,会陰部の疼痛・腫脹を主訴に入院となった. CTにて会陰部から陰嚢の結合組織内にガスの貯留を認め,切開を行うと膿汁とガスが噴出した.切開後も炎症は下腹部,鼠径部へ拡大し,切開を追加したが消退しなかった.入院20日目にARDSを発症し,患者は呼吸不全となった.下腹部,鼠径部,会陰部の皮膚が壊死に陥り,デブリドマンを繰り返すことにより,大きな皮膚欠損となったがこれにより炎症は消退した.呼吸状態も改善し29日目に人工呼吸器を離脱した. Fournier症候群は会陰部を中心とする壊疽性筋膜炎で,しばしば治療に抵抗し重篤化する.こうした例では壊死組織の積極的な広範囲切除が必要と考えられる.

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The clinical efficacy of KBT-1585, a new oral ampicillin ester, was investigated using a total of 20 patients with suppurative otitis: acute otitis media (2 cases) and chronic otitis media with exacerbation (18 cases).
The results showed that KBT-1585 was highly effective against chronic otitis media with exacerbation with respect to clinical and bacteriological efficacy.

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This paper presents a 46-year-old man with osteomyelitis of the temporal and parietal bones. The disease had been managed by administration of antibiotics and drainage of mastoid purulency at a hospital but the inflammation had spread to the skull.
Broad exenteration of necrotic bone resulted in healing of the lesions. The disease seems to have been caused by inadequate administration of antibiotics and infection with resistant Staphylococcus aureus.

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30秒椅子立ち上がりテスト（CS-30）がCOPD患者の運動耐容能評価として応用できるかCOPD患者27例を対象に検証した．相関分析において，CS-30はMRC息切れスケール，peak pred，％PEM，The Nagasaki University Respiratory ADL questionnaire（NRADL），The St. George’s Respiratory Questionnaire（SGRQ）と非常に高い相関関係にあり，CS-30とpeak predとの間に精度の高い回帰式が得られた．さらに，CS-30を従属変数，CS-30と相関関係があった指標を独立変数とした重回帰分析においてpeak predと％PEMが影響要因であることが示唆された．これらのことからCOPD患者において，CS-30は運動耐容能評価法として臨床応用の可能性を有しているのではないかと考えた．

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慢性閉塞性肺疾患（COPD）患者に対して，30秒間椅子立ち上がりテスト（CS-30）が運動耐容能評価法として応用できるかを検証した．対象はCOPD患者137例で，主要測定項目はCS-30，6分間歩行距離テスト（6MWT）とIncremental Shuttle Waking Test（ISWT）から求めた予測値最高酸素摂取量（peak pred）で，副次測定項目はmodified Medical Research Council（mMRC）息切れスケール，最大吸気口腔内圧（MIP），最大呼気口腔内圧（MEP），握力，膝伸展筋力，開眼片脚起立時間，Timed Up and Go test（TUG），長崎大学式ADLテスト（NRADL），St. George’s Respiratory Questionnaire（SGRQ）である．CS-30と6MWT peak pred，ISWT peak VO₂ pred，TUG，NRADL，膝伸展筋力に高い相関が認められ，6MW peak pred＝0.38×CS-30＋4.42（R²＝0.53），ISWT peak pred＝0.64×CS-30＋1.85（R²＝0.59）の有意な回帰式が得られた．CS-30の影響因子は，ISWT peak pred，TUGであった．CS-30は，在宅や狭小な施設において，客観的に運動耐容能が評価できる可能性が示唆された．

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