映像のデジタルアーカイブを構築し、デジタル利用を実現するためには、著作権者から映像の利用許諾を受ける必要がある。しかしながら、権利者不明著作物(孤児著作物)の場合は、利用許諾を受けることは容易でなく、映像の死蔵リスクが生じ得る。本発表では、まず現行の日本の法制度下で、権利者不明著作物を適法に利用するための方法と限界を分析する。次に、権利者不明著作物の利用促進に向けた近時の法改正の動向を解説する。最後に、諸外国の事例も踏まえ、公的機関が映像のデジタルアーカイブを利用するために望ましい法制度のあり方を検討する。
本稿は,文化的創作保護法である著作権法を前提としたデジタル著作物のビジネスモデルを示すために法学および制度経済学的アプローチの援用による議論を試みる。経済主体間の情報フローに着目したビジネスモデルを分類し,その実装手順と潜在的事業リスクの面から評価を行い,デジタル著作物のためのDRM技術と著作権法に代表される法的規制から直接・介在取引モデルが依然として有効であることを示す。さらにデジタル著作物の価格に着目して直接・仲介取引モデルの分類を試み,Cohen(2000)による著作物の販売価格と市場取引量間関係の議論を発展させた独占価格モデル,価格差別化モデル,価格変動モデルを提示し,各モデルの消費者余剰分析と経済的効率性の理論的評価を行う。中古ビデオゲームの市場分析およびデジタル著作物の法的解釈としての経緯を分析し,価格変動モデルが経済的効率性および法規準拠性の面で優れていることを明らかにする。
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