1) ナラワスサビノリの養殖における芽変り現象と
栄養繁殖
性について, 1973年度に千葉県木更津市牛込において膳葉標本の観察, 葉長と葉幅の相対関係, 着生密度, 葉長組成などの時期的変化によって追求した。
2) 研究材としてもちいたナラワスサビノリの秋芽網は, スサビノリの侵入混生によって芽変りしたことが確認された。
3) ナラワスサビノリとスサビノリとの混生集団では, 葉長と葉幅の分散図および葉長幅比の度数分布図では連続的な変化を示して, 両品種は一つの集団としてしかみられなかった。
4) 本研究材料では, 着生密度は, 網糸10cmあたり最大2, 000~5, 000個体に達した。また着生密度は漸次増大したが, 一定期間後に急激に増大することはなかった。
5) 葉長組成は, 摘採期以前には, ほぼ正規型を, 摘採がはじまってからは正規型, L型およびそれらの複合型を示して激しく変動したが, いわゆる双峰性分布はみられなかった。
6) 最小葉長群 (0.025~0.04mm) は最初の試料から最後の試料まで続いてみられた。
7) 正規型 (複合型を含む) 分布の最頻値は, 一定期間後に0.25~1mmを示した以後最後までほぼ一定していた。
8) 養殖ノリの着生密度と葉長組成の時期的変化は,
栄養繁殖
をおこなう種類でも単胞子の放出期間と放出量とによって異なる。
9) 本研究結果から, ナラワスサビノリの
栄養繁殖
性は, スサビノリとは明らかに相異するものであると考えられた。
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