本来胆道は無菌の状態に保たれているが, 胆石や腫瘍, ODDI括約筋機能低下等で胆汁うつ滞がおこると細菌感染がもたらされる。
とりわけ閉塞性胆道疾患では重篤な胆道感染に陥り, 生命の危険をもたらす。胆道閉塞に起因する胆道感染の治療には胆汁うつ滞の除去が第一になされなければならないが, 同時に強力な化学療法を行うことも重要である。
化学療法に際しては起炎菌の確認が必須であるが, 急を要する場合には細菌検査の結果が得られる前に化学療法剤の投与を開始しなければならない。そこでEscherichia coliやKlebsiellaに抗菌力を持ち, 且つ胆汁移行性の良い抗生剤が第1選択剤として用いられることになる。抗生剤の胆汁移行性についても胆道閉塞状態や肝機能障害時にも良く移行することが望ましい。
今回我々は広範囲抗菌スペクトルを有し, 胆汁中移行が優れているCefoperazone (CPZ) について閉塞性胆道疾患時の胆汁中移行を検討したので報告する。
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