M+1法則によると, 有効候補者数は選挙区定数 (magnitude) に1を加えた値になる傾向を持つとされている。これは 「小選挙区制は二大政党制を導く」 とするデュベルジェの法則を拡張したものであり, かつての中選挙区制下の衆議院選挙のデータによって実証がなされてきた。
中選挙区制下での選挙区定数は3~5であったため, それらの先行研究は, 定数3~5の範囲内でM+1法則を実証してきたといえる。これに対し, 都道府県議会選挙の場合は, 1人区から定数10超の選挙区まで, 定数の幅が広い。この点に着目し, 本稿は, 都道府県議会選挙のデータを用いた実証を通じて, M+1法則に関する研究を発展させることをねらいとする。
また, 本稿では, 都道府県議会選挙では選挙区の数が国政選挙に比べて多い点を生かしつつ, 都市化や選挙区定数の変更といった選挙の競争環境がM+1法則の妥当性にどのような影響を及ぼすのかについても検討を加える。
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