風倒木地帯においては,山地の河川に流入した多量の
流木
が,生産源からの流下過程で組み上がることによって土砂の滞留現象が引き起こされる。このような
流木
群をwallと定義し,それによる土砂の滞留機構を現地調査と実験とに基づいて明らかにした。現地調査では,
流木
群の生産源からの流下蹉離, wall強度,滞留土砂量の関係を分析し, wall強度が最大2.0×10
4にまで達し,このとき滞留土砂量が550m
3になることがわかった。この機構を検討するために水路実験を行い,細砂と礫とからなる段波を形成する流体を
流木
群に衝突させることによってwallを形成し, wallの形態(面積,本数)と粒度組成,土砂濃度および滞留礫量との関係について分析した。粒度組成と土砂濃度の異なるケースごとに流体力を計算した結果,礫の割合の少ないケースにおいて流体力が増加することがわかった。これによって,流下距離が長いほど強度の高いwallが形成され,滞留土砂量も増加するという現地での結果が支持された。
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