1.離岸堤によって再生した
海浜における海浜
植物の分布特性を明らかにするために,鳥取県米子市において,離岸堤
海浜
とこれに隣接する自然
海浜
に生育する
海浜
植物の出現頻度や微地形条件に対する分布を調べた.
2.設置されてから12年以上が経過した16地区の離岸堤
海浜
と7地区の自然
海浜
において生育する植物を記録した.また,3地区の離岸堤
海浜
と1地区の自然
海浜
において,汀線から陸側へ向けて5×5mのコドラートを連続的に設置するベルトトランセクト法を用いて出現種を記録するとともに,水準測量から得られた横断地形をもとに,
海浜
の地形を6つの微地形に区分し,各微地形に対する
海浜
植物の選好性を調べた.
3.
海浜植物の出現頻度を離岸堤海浜と自然海浜
とで比較した結果,ツルナとオカヒジキは離岸堤
海浜
で有意に高く,ハマハタザオ,アナマスレミ,オニシバ,ケカモノハシの4種は,いずれも,自然
海浜
で有意に高かった.また,ロジスティック回帰分析の結果,小面積の離岸堤
海浜
で欠落する傾向を示したのはコウボウシバ,ハマボウフウ,タイトゴメ,ハマゴウ,ウンランの5種であった.
4.ケカモノハシを除く上記の10種について,選好する微地形をもとに考察した結果,このような分布傾向が生じるのは,波の影響により生育に適した立地が減少するためと考えられた.また,ケカモノハシについては,種子供給源の少なさが影響していると考えられた.
5.自然
海浜
に分布していた20種の
海浜
植物のうち17種が離岸堤
海浜
で確認されほか,自然
海浜
では確認されなかった7種の
海浜植物が離岸堤海浜
で確認された.これらのことから,離岸堤
海浜は海浜
植物の生育地として機能すると考えられた.ただし,小面積の離岸堤
海浜
では欠落する種群が認められたことから,離岸堤
海浜による海浜植物の保全には十分な海浜
面積を確保する必要がある.
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