1.目的
登山
は自然公園の代表的な利用形態である。近年、中高年
登山
者の急増による事故の多発や、百名山ブームによる一部の山への利用集中による、
登山
道の荒廃が起きている。その結果人工物で固められた
登山
道が増え、一方では施工に対する批判があがっている。自然公園における利用者への安全確保と自然保全の両立は重要な課題である。そこで本研究は、自然公園管理の可能性を探るために
登山
利用者の変化を明らかにしたい。
2.調査地概要
調査対象地は、鳥取県に位置する大山隠岐国立公園の中心にあたる大山地区である。中国地方の最高峰大山(1709m)を擁し、年間を通じて
登山
などに利用されている。相次ぐ
登山
道の崩壊により、かつては4本あった山頂への
登山
道は現在は「夏山
登山
道」一本である。そのために
登山
者が集中し侵食が進み、毎年、木道、丸太階段、蛇籠による維持管理が行われている。
1981年から2001年において、鳥取県が調査した大山地区への入込み者数と、米子警察署が管理している
登山
届を示した(図__-__1)。
登山届は登山
者が自主的に記入するものである。記入しない
登山
者もいるため実際の
登山
者数はこのデータより多い。
3.調査方法
登山
者の変化をみるため1992年と2001年に実施したアンケートから共通の質問項目を用い比較した。
アンケートは1992年、2001年ともにすべて大山山頂において
登山
者を対象として行ったものである。
1992年調査は8月15日10__から__14時に実施。115部を回収した。また2001年の調査では、8月12日11__から__13時、および15日11時__から__13時に実施。99部を回収した。
登山
者の属性をみるため、1992年の調査と2001年の調査において比較したアンケート項目を次に示す。__丸1__性別、__丸2__年齢、__丸3__職業、__丸4__居住地、__丸5__グループ、__丸6__交通手段、__丸7__日程、__丸8__
登山
コース、__丸9__
登山
キャリアである。
4.結果
__I__ 年代別構成
年代を比較すると、50代が6.1%から25.3%へと増加した(表__-__1,2)。
__II__ 居住地別構成
登山
者の居住地を比較すると鳥取県からの
登山
者は24.4%から12.1%へ減少した。
__III__ グループ別構成
グループを比較すると、1992年、2001年とも家族による
登山
が最も多い(表__-__3,4)。
__IV__
登山
キャリア
登山者の登山
キャリアを比較すると、1992年、2001年ともに、過去5年以上毎年
登山
をしている経験者と、過去1__から__2回登ったことのある層が中心である。
5.まとめ
(鈴木・川村,1994)は大山の
登山
行動について1992年の大山における現代的な
登山
の特徴は、「家族
登山
」といえる。と報告している。2001年においても同様の特徴がみられた。さらに
登山
者の年齢層の中心が中高年へと変化した。
様々な
登山
者が混在する大山
登山
の管理の可能性は、
登山
利用者自身にあるといえるのではないか。
引用文献
鈴木美智子・川村誠(1994)自然公園におけるレクリエーション行動の研究(__I__)大山国立公園の
登山
行動.鳥大演研報22:83-114.
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