本研究は, 社会的な場面での着装行動を規定する, 人々に共有された暗黙のルールとしての着装規範に関する
社会心理学
的研究の試みであり, 着装生活場面とそこで重視される着装基準の関連性に焦点を当てたものである.被調査者は18~25歳の大学生566名と40~60歳の社会人770名であり, 規範の強度ないし量的な側面としての着装意識度 (自分の服装をどの程度意識するか) , および規範の内容ないし質的な側面を反映する12の着装基準の重視度 (自分の服装を決める際に各基準をどの程度重視するか) を, 10の社会的場面について回答した.因子分析の結果, 着装場面はフォーマル, セミフォーマル, インフォーマル, 着装基準は社会的調和, 個性・流行, 実用性のそれぞれ3因子の存在が示された.分散分析および相関分析により, 着装意識度, 着装基準重視度の高さ, および両者の関連性が場面によって異なること, またそれらにおける年代差, 男女差の存在が見出された.
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