卵白および卵白構成たん白質の泡の動的安定性について比較検討を行った.この報告でいう泡の動的安定性とは加熱とか, 外的衝撃といった動的操作を加えたときの泡の安定性を示す.動的安定性の測定としてはbatterの比重およびそのbatterの膨化率を求めた.なお, 加熱, 圧力の変化, 超音波の照射などは動的操作を表現できるものと考え, それらの操作による安定性を検討した.卵白を対照として卵白中のどの成分が泡の動的安定性に優れているかを検索し, 次のような結果を得た.
1) 卵白をalbumin区分とglobuliR区分に分けて動的安定性の比較を行った結果, globulin区分のほうが優れていた.また両区分をさらに細かく分画し六つの構成成分に分けて調べた結果, 起泡性, 動的安定性ともにovomucin, globulin, conalbumin, ovalbumin, ovomucoid, lysozymeの順に減少した。とくにovomudnは他より非常に優れていた。卵白自体の動的安定性はovomucin, globulinよりは劣るが, 安定性の悪いovomucoid, lysozymeよりは優れていた.
2) 卵白泡の動的安定性への低分子物質の寄与の有無を調べた結果, 低分子物質にも補助的寄与があることが認められた.
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