同時期に偶然施行された
腹部超音波検査
により発見された, 家族性褐色細胞腫の1家系を経験した. 症例1は23才男性. 耐糖能異常の精査, 加療のため入院. 肝を触知したため,
腹部超音波検査
を施行し, 肝内に位置するようにみえる腫瘤を指摘された. 内分泌学的検査, 腹部CT, 腹部血管造影,
131I-MIBGシンチグラフイーにて両側性褐色細胞腫と診断し, 手術的に摘出, 治療した. 症例2は21才女性, 症例1の妹. 心窩部痛にて来院し,
腹部超音波検査
にて膵背部に嚢胞指摘. 精査のため入院した. 症例1と同様の諸検査にて左副腎由来の褐色細胞腫と診断し, 手術的に摘出, 治療した. 組織学的に, クロム酸固定後, 胞体内に褐色の顆粒を確認し確定診断した. 近年, 超音波検査の普及により, 偶然の機会に発見される副腎腫瘍が増えているが, 肝や膵に存在するようにみえる腫瘤でも, 検索をすすめるうえで, 副腎腫瘍も念頭におく必要があるとおもわれた.
抄録全体を表示