抄録
目的:日本人間ドック学会の「腹部超音波検査所見の判定及び事後指導区分」と日本消化器がん検診学会の「腹部超音波がん検診判定基準」を併用した経験から,健診での腹部超音波検査の判定と診断・事後指導のあり方を提案する.
方法:2011年11月1日から2013年2月28日までに,腹部超音波検査をはじめて実施した820例を対象とした.検者(主に技師)がカテゴリー判定を行ない,医師が診断と事後指導を行ない,診断結果と,事後指導区分,カテゴリーとの関係を調べた.
結果:技師によるカテゴリー判定が,医師による診断と事後指導に有用であった.カテゴリー4の所見には腫瘍の疑い,カテゴリー5には腫瘍との診断名をつけ,事後指導区分をD:要精検または要治療とした.カテゴリー3では,所見ごとに事後指導区分を決めた.カテゴリー2では,精検不要な所見がある一方で,腹部大動脈瘤のように精密検査や治療が必要な良性疾患もあった.カテゴリー0で臓器摘出の既往のない場合,がんの可能性を考え精検を要した.
結論:「腹部超音波がん検診判定基準」に必要な所見を加え,技師がカテゴリー判定を行なう.医師はカテゴリー判定を見て診断し事後指導をする.健診での腹部超音波検査の精度向上のためには,技師の技術向上と知識習得,医師へのカテゴリー判定による情報伝達が不可欠である.