2007 年 4 月 1 日~2016 年 3 月 31 日までに当院に紹介された高次脳機能障害者の連続症例 139 名を対象として分析した。社会的
行動障害
なしが 81 名 (58.3%) , 社会生活上に問題となる社会的
行動障害
を 38 名 (27.3%) に認め, より重篤な社会的
行動障害
による社会生活が困難となった事例を 20 名 (14.4%) に認めた。困難事例の特徴は, 平均年齢 35.9 歳と若年で, 男性が女性の 4 倍で, 原因疾患としては外傷性脳損傷に多かった。困難事例では, 衝動性が強い症例が 16 名, 衝動性と知的低下を伴う症例が 6 名, 幻覚妄想を伴う症例が 4 名であった。困難事例では, 薬物療法や精神科との連携がなされ, グループ訓練, 就労支援などが提供されていた。より重篤な症例では精神科入院治療, 精神科デイケア, 訪問看護や保健所などとの連携がなされていた。また, 支援拠点の相談事業における困難事例は 1.9%にみられ, 頭部外傷後精神病では数%の報告があり, 決して稀とは言えない。
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